調査・分析の結果、明らかとなった大きな点は、(1)大臣以上の役職に付く与党議員は、野党議員や首長(地方レベル政治家)、非政治家よりも明確に答えていないこと、(2)明確に答えられない争点として、経済・エネルギーの分野であること、(3)大臣以上の役職と争点の交互作用によりどっちつかずが発生すること等が現時点において明らかとなっている。 これは、政府の役職に就く政治家の方が、政府の役職に就いていない与党議員より責任が重く、フェイスへの脅威が大きいことを意味している。また、経済分野に関する争点については、アベノミクスに関する財政政策、金融政策、成長戦略に関する質問が多くなされており、マスメディアが批判的に質問したことが答え難くなっていた要因であると考えられる。またエネルギーに関しては、2011年の震災以降、電力供給が逼迫したことから原子力エネルギーに関する問題が大きく取り上げられ、当事の民主党政権において、厳しい質問がされたことから、答えにくい争となったものと考えられる。こうした実証研究を通して、どっちつかず理論を精緻化しており、質問によって答えない争点が明らかになることで、民主主義が深化すると考えられる。 これら調査・研究の結果の成果は一部公表が始まっているが、今後さらなる成果の公表を行う予定である。とくに、質問形式とフェイスへの脅威の関係、また質問と回答の相互作用に関する関係を整理し、モデルの精緻化を図っていく予定である。
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