研究課題/領域番号 |
24530158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池尾 靖志 立命館大学, 産業社会学部, 非常勤講師 (20388177)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 平和政策 / 自治体 / 安全保障 / アンケート調査 |
研究概要 |
本研究の目的は、自治体の「平和政策」に関する実態を調査することによって、各自治体の「平和政策」の取り組みを明らかにし、地域から安全保障の問題にかかわることの意味を問うことにある。この目的を実現させるため、初年度では、以下の研究を行った。 1)「平和政策」の概念定義に関する研究と、その研究成果を一般市民に還元するために、岩波ブックレットから、『自治体の平和力』を刊行した。このブックレットの刊行を通して、非核神戸方式で有名な神戸市(地元の労働組合主催)、平和市長会議に県内自治体を参加させようとする三重県生協連主催の講演会で講演を行った。 2)平成25年度に、全国の自治体の「平和政策」に関する実態調査を行うための予備作業を、事務補助(バイト)を雇用して行った。具体的には、役所に関する住所や担当部局などのデータ検索とデータベースの作成である。これらは、平成25年度の研究に活用される。 3)沖縄・岩国(山口県)における基地被害に関する調査、および、自衛隊誘致にかかわる住民の分断を明らかにするため、与那国町へのヒアリング調査を実施した。今年度は予備調査であったため、次年度に本調査を実施し、研究成果を学会などで発表したい。 4)「平和政策」に比較的熱心な自治体として、自治体の設置する「平和博物館」に対するアンケート調査を行い、展示内容や、市民との協働関係などについて調査した。この調査結果は、平成25年度に発表する予定である。 5)原発の立地する自治体に対する意識調査を行うことも必要である。原発は、安全保障上のかかわりを密接に有することからである。この点につき、国家(中央政府)と自治体(地方政府)とのかかわりについて、さらなる理論研究が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究の目的及び平成24年度の研究計画については、おおむね実現でき、平成25年度の研究(自治体の平和政策に関するアンケート調査実施)にむけての準備をすることができた。 また、岩波ブックレットを刊行したことにより、一般市民に対しても講演をする機会があたえられ、研究成果の一般市民への還元も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
1)自治体という分析レベルから、「安全保障」概念に関するとらえ返しを行う必要があり、引き続き、理論研究を行う。 2)平成25年度は、平成24年度の予備調査を経て、各自治体に対する「平和政策」に関するアンケート調査を実施する。この調査の実施が平成25年度のもっとも大きな課題である。回収率を高めるため、追加調査を含め、平和諸団体との協力も仰ぎたい。 3)平成25年度8月には、広島市において、平和市長会議が開催されることから、これに参加し、自治体関係者との意見交換を実施することを考えている。 4)沖縄に関しては、平成25年度には、自衛隊誘致に揺れる与那国町長選挙、普天間基地移設返還に伴う辺野古の新基地建設に絡む名護市長選挙が実施されることから、この選挙結果の分析にも力を注ぎたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)安全保障研究に関する文献購入 2)自治体の「平和政策」に関するアンケート調査実施のための、印刷費、郵送費、作業補助のための人件費 3)沖縄県の動向を探るための国内旅費 以上が、主要な研究費の使用計画である。
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