1)最終年度にあたる平成26年度は、前年度に行った、自治体の「平和政策」にかかるアンケートの追加調査(未回答自治体に対する督促)を行い、地域住民に対する啓蒙活動がどの程度行われているのかについて、海外の学会で、日本の状況に関する現状報告を行った。それに対し、米軍基地の存在する自治体の状況に対する質問や、研究自体の方法論に関する質問などが行われ、活発な議論を、海外の日本研究者と行うことができた。 2)今後の研究課題として、自治体レベルから、国家安全保障の問題に関わるときに、国家であれば、自衛力の増強という手段をとることができるが、自治体ではそれはできない。むしろ、近隣諸国といかに友好関係を築いていくかの方が重要である。このため、中国から、平和研究の第1人者である、劉成・南京大学教授を招聘し、シンポジウムを、沖縄大学地域研究所の協力を得て、沖縄で開催した。コメンテーターには、我部政明・琉球大学教授、新崎盛暉・沖縄大学名誉教授にお願いした。また、あわせて、稲嶺進・名護市長の訪米のアテンドを行った、猿田佐世・New Diplomacy Initiative事務局長に、訪米の様子を伺い、自治体の「平和政策」のあり方についての1つのヒントを得る報告をしていただいた。 3)今後の検討課題としては、特に、有事の際に、国民保護計画の策定が、自治体に求められているが、特に、未策定のケースがみられる。これらは、離島防衛の際にどうするかといった課題を含む自治体が多い。この点に関し、今後の課題として取りあげたい。
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