研究課題/領域番号 |
24530166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平野 聡 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (00361460)
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研究分担者 |
大沼 保昭 明治大学, 法学部, 特任教授 (50009825)
渡辺 浩 法政大学, 法学部, 教授 (10009821)
新田 一郎 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40208252)
茂木 敏夫 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (10239577)
中溝 和弥 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 客員准教授 (90596793)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 東アジア / 政治外交史 / 政治思想史 / 国際法 / 比較地域研究 / 地域秩序 / 近代文明 / 国際研究者交流 (英国・中国・韓国) |
研究概要 |
昨年は、中国及び韓国との外交関係悪化に伴う大きな関心が日本社会一般に生じたが、この動きは大局的にみれば、「東アジア」は未だに、階層的な国家間関係や曖昧な領域観に基づく伝統的地域秩序から近代国際秩序へ移行する揺らぎの中にあり、脆弱な自己認識に基づきナショナリズムが誘発された結果でもある。だからこそ今改めて、非西洋における伝統秩序と近代秩序の反応のあり方に関する精緻な比較研究の必要性が痛感される。 そこで本研究の代表者・分担者は、アジア諸国の政治史・思想史と国際法に関する知見をもとに、視角の共有ならびに研究の深化を図ってきた。平成24年度は、アジアのみならず世界各地の同様の問題に対して関心を寄せる研究者に呼びかけ、《地域》とその歴史・近代文明との関係を如何に概念化するのかをめぐり、共通テキストを踏み台として討論を重ねる研究会を2回開催した (9月10日、於東京大学。共通テキストは羽田正『新しい世界史へ―地球市民のための構想』。及び4月6日、於明治大学。共通テキストは大沼保昭『A Transcivilizational Perspective on International Law』。なお、後者が2013年度にずれ込んだのは日程調整のためである)。研究会での問題提起・討論を通じて浮き彫りになったのは、そもそも近代国際関係・国際法秩序・近代国家、そして「地域」・「歴史的秩序」といったものが、往々にして権力や学問の作為によっており、現実の多様な諸相を反映しきれないことによる政治的不安定である。ところが一方で、描かれて「発見」された側の「地域」「秩序」の側が、強者への対抗手段として近代国家と「地域」を実体化させようと欲する動きが不断に発生するという問題も指摘された。そこで、歴史記述上の作為と実体の境界線の曖昧さを自覚しながら、本年度さらなる研究を進めるという方向性が共有された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
比較研究の必要性に基づいて研究者のネットワークと研究会を立ち上げ、刺激に富む討論を開始していることについては順調に推移しているが、個別研究を深める時間がなかなか思い通りには確保出来ていないという問題がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も、上述の研究会形式による比較研究・問題意識深化共有の機会を、合宿形式で設定することによって、共同研究全体の加速と成熟を期する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に合宿形式による研究会を2回以上開催するにあたり、参加者の旅費及び宿泊費として充当する。このほか、研究に必要な図書を購入する。
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