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2012 年度 実施状況報告書

1940年代後半における東アジア国際秩序形成過程の研究の脱「アメリカ」化

研究課題

研究課題/領域番号 24530167
研究種目

基盤研究(C)

研究機関岐阜大学

研究代表者

加藤 公一  岐阜大学, 地域科学部, 講師 (60345775)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード現代史 / 国際関係史 / 東アジア
研究概要

当初の計画では、平成24年度には、台湾での一次史料の収集と調査を実施する予定だったが、実施することができなかった。そのために史料の収集は、台湾の国史館に所蔵されている『事略稿本』の影印本などを中心とした公刊史料のみにとどまった。なお、『中華民国重要史料初編―対日抗戦時期』などのすでに公刊されている史料の分析は進めている。
一方、研究課題である1940年代東アジア国際関係を分析する前提として、19世紀後半から20世紀初頭にかけての東アジア国際関係史に関する膨大な研究成果を渉猟することによって、研究課題に関する歴史的背景の理解を深めた。その時期は、とくに中国東北部、すなわち旧「満洲」が清朝/中華民国と日米やロシア/ソ連など諸列強との国際関係の焦点となっていたため、その分析に努めた。その成果の一部は、「門戸開放政策」という項目で、『20世紀満洲歴史事典』に発表した。その中では、研究課題である「脱アメリカ化」の問題意識に即して、従来では米国による「門戸開放宣言」が中心に扱われてきた問題で、とくに英国の役割を強調した。また、同事典ではその他にも、研究課題である「ヤルタ体制」に直接関わる「ヤルタ会談」「中国喪失論」「中国白書」その他の項目を担当した。
さらに、戦後「満洲」史研究会において、1940年代東アジア国際関係史研究の最新の成果の一つである松村史紀『「大国中国」の崩壊―マーシャル・ミッションからアジア冷戦へ』の書評報告をおこなった。その報告から敷衍して、平成24年度末から平成25年度初めにまたがって、「冷戦」と脱植民地化に関する研究動向をまとめた。その成果は、平成25年度中に『日本植民地研究』誌上で発表する予定である。
加えて、その執筆作業と並行して、平成25年度初めに、研究課題である「チャイナ・ロビー」に関して研究報告をおこなう予定であるために、その準備も進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定外の原稿執筆依頼が重なったために、台湾での史料調査を実施することができなかったが、台湾で閲覧予定だった『事略稿本』の影印本を入手することができたので、その分析を進めている。その結果として、今年度に米国で資料調査を実施する予定である。
また、資料調査の代わりとして、19世紀後半以後の1940年代に至る東アジア国際関係の歴史的展開について、十分な理解を得ることができたことも、メリットとして挙げられる。

今後の研究の推進方策

米国での史料収集と調査を中心に進めていきたい。まず、カリフォルニア州スタンフォード大学フーバー研究所に所蔵されている蒋介石日記の調査は必須である。さらに、ワシントンDCの議会図書館所蔵のタイム社主ヘンリー・ルースや駐ソ大使アベレル・ハリマンなどの史料、ニュージャージー州プリンストン大学所蔵のUnited China Reliefの史料、ニューヨーク州コロンビア大学所蔵の顧維鈞の史料などの調査を進めることにしたい。こうした史料収集の成果をもとに、「チャイナ・ロビー」の中国側とのつながりを明らかにしていきたい。

次年度の研究費の使用計画

研究計画に鑑みて、米国での史料収集のための旅費が大きな比重を占めることになる。西海岸のカリフォルニア州スタンフォード、東海岸のワシントンDC、ニューヨーク市周辺などでの調査が必要であるため、複数回の史料調査が必要となる。しかも、いずれの場所も、宿泊費が比較的に高額な地域である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 松村史紀著『「大国中国」の崩壊―マーシャル・ミッションからアジア冷戦へ』(勁草書房、2011年)を読んで

    • 著者名/発表者名
      加藤公一
    • 学会等名
      戦後「満洲」史研究会
    • 発表場所
      早稲田大学
  • [学会発表] 1950年代中国とアメリカ社会―「チャイナ・ロビー」を中心に

    • 著者名/発表者名
      加藤公一
    • 学会等名
      東洋文庫超域アジア部門現代中国研究班国際関係・文化グループ
    • 発表場所
      財団法人東洋文庫
    • 招待講演
  • [図書] 二〇世紀満洲歴史事典2012

    • 著者名/発表者名
      貴志俊彦・松重充浩・松村史紀編
    • 総ページ数
      812
    • 出版者
      吉川弘文館

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公開日: 2014-07-24  

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