研究最終年度である2014年度には、予定していた最後の現地調査を米州において実施した(9月)。まずワシントンでは、米州開発銀行(IDB)本部において貿易統合セクターのエコノミストから米州開発銀行の地域主義促進政策に関してインタビューを行い、関連する資料を収集した。また世界銀行、駐米日本大使館においてそれぞれ世界銀行及び米国の地域主義政策に関するインタビューを実施した。コロンビアのボゴタにおいては、駐コロンビア日本大使館においてコロンビアの政治経済状況全般に関して聞き取り調査を実施するとともに、コロンビア政府外務省、貿易省関係者から、太平洋同盟やOECD加盟問題の現況について聞き取り調査を実施した。 3年間の海外現地調査および国内での主として文献調査の結果、本科研の目的である域外アクターによる国際関係上の地域主義支援政策について多くの知見を得ることができた。研究計画に記載された海外調査についても、1年目のインドネシア、フィリピン出張によってASEAN事務局から各国・機関からの地域主義支援の現状、及びアジア開発銀行(ADB)による地域主義支援政策について聞き取り調査が実施できた。また2年目には、欧州連合(EU)による地域主義支援政策に関して、欧州委員会スタッフや研究者からの聞き取り調査を実施し、資料を収集することができた。これらの海外出張調査によって、地域主義の国際的源泉の中核であるEU及び地域開発銀行の役割について総合的な知見を得ることができた。EUによる域外の地域主義支援は、東南アジアや南米においては特定の形態の地域主義(超国家主義)として警戒されていることも確認できた。これらの研究成果を公刊するべく準備を進めている。
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