本研究は、日露戦争後の両国がいかなる背景、理由で接近し、国際関係がどのように変容したかを、原資料などを使い、分析、検討した。日露両国は、新聞、雑誌などの特派員による報道によって、相互のイメージ、特にロシアでの対日イメージが大幅に改善されることになった。また、両国の外交的視点から、中国に於ける満州、蒙古などの勢力範囲の設定という相互の国益の確保、増進のために接近した。そして関係各国も冷徹な国際政治的判断によって、自国の国益確保のために日露両国に外交的な働きかけを強化した。これらは、現代の日ロ関係に於いても相互のイメージの改善が求められること、また相互の国益の確保が必要であることを示唆している。
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