バルト海から黒海へと至る地域はあまり注目されることはなかったが、第一次・第二次世界大戦、冷戦、冷戦の終焉すべてがこの地で生じたように、同地域は常に国際政治のフォーカル・ポイントであったし、今またウクライナ危機を発端に新冷戦が始まろうとしている。それは、この地域が諸大国の狭間に位置しており、諸大国がこの地域をめぐって権力闘争を展開するからに他ならない。本研究では、この狭間の地域をめぐる広域ヨーロッパ国際政治について分析し、4つのパターンの歴史的展開(力の真空、大国間権力闘争、分割支配、一大国の単独支配)を跡付けるとともに、ウクライナ危機の原因およびそれが国際社会に及ぼす波紋について明らかにした。
|