研究課題/領域番号 |
24530176
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
毛利 勝彦 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (00247420)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グローバル・イシュー / 地球環境ガバナンス |
研究概要 |
地球環境ガバナンスの制度化に関する文献調査を行うことによって、ハーディンの「共有地の悲劇」に対処する形で「公共財」化(規制強化)と「私有財」化(市場メカニズム)の先行研究が蓄積されている一方で、「クラブ財」化(プルリラテラリズム)の理論については、十分に精緻化されていないことが明らかになった。その理由は、おそらくクラブ財に対するネガティブな排他性バイアスがあるからだと思われるが、そのポジティブな側面も正当に評価する必要がある。また、そうしたクラブ財は公共財や私有財と排他的に存在するものではなく、むしろそれらの前段階あるいは後段階として把握しうることが分かった。 2012年6月にブラジルで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)に参加し、同会議のテーマであった「グリーン経済」と「制度的枠組み」のうち、後者のテーマに着目して上記の理論的枠組みを参照しながら国際交渉動向を追うとともに、関係者に現地インタビュー調査を実施した。リオ+20の成果文書では、制度的枠組みについて、(1)国連持続可能な開発委員会(CSD)に代わるハイレベル政治フォーラムの設置と(2)国連環境計画(UNEP)の強化・格上げが決議された。国際公共財としてのこれらの制度改革とともに、多国間主義による国連枠組み外のプルリラテラリズムとして国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の動向と、市場メカニズムにおけるプリラテラリズムとして国際統合報告評議会(IIRC)の動向に着目して現地調査を実施した。 これらの研究成果をまとめ、2012年12月に北京で開催された日本・中国・韓国3か国の国連研究者による第12回東アジア国連研究セミナーで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに、国連持続可能な開発会議(リオ+20)における現地調査を実施することができ、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
京都議定書の第2約束期間が2013年度から開始されたが、日本やカナダが離脱するなど、多国間主義の退行制度としてプルリラテラリズムのクラブ財の位置づけの検証を行うとともに、日本国際政治学会での報告を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度購入を予定していた専門書の発行が遅れたこともあり、17,855円の研究費を繰り越した。これも含めて今年度の図書購入や出張費を予定している。想定された国連交渉の進捗が見られない場合は、海外出張費の翌年度以降への繰り越しも視野に入れながら、効率的かつ効果的な使用計画の見直しを行いたい。
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