研究課題/領域番号 |
24530182
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
毛利 聡子 明星大学, 人文学部, 教授 (90318676)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | グローバル・イシュ / 世界社会フォーラム / オルタ・グローバリゼーション / 気候正義 |
研究概要 |
オルタ・グローバリゼーション運動の可能性と限界を明らかにするために、平成24年度は気候正義運動を事例対象として取り上げた。そのために、2012年11月27日~12月5日には、カタールのドーハで開催された第18回国連気候変動枠組条約締約国会議にNGOのメンバーとしてオブザーバー参加し、政府間交渉およびNGOによるロビー活動等の参与観察を行った。また、気候正義問題を取り上げたセミナー等で情報を収集するとともに関係者にヒアリングを実施した。 2013年3月25日~31日には、これまでオルタ・グローバリゼーション運動の最前線として調査を行ってきた世界社会フォーラムが、チュニジアのチュニスで開催されたので、現地で参与観察を行うとともにインタビュー調査を行った。同フォーラムには世界から7万人以上が集まり、シンポジウムやセミナー等が開催され、気候正義のみならず、債務や水、食料主権、ジェンダー、パレスチナ問題等、多岐にわたって社会運動が提示するイシューを概観する良い機会となった。社会運動体のネットワークについても参与観察を通じて、その実態を把握することができた。同フォーラムに参加する前には、ヨーロッパにおける新自由主義への対抗運動の象徴となったスペインの15M運動について、現地取材をしたジャーナリストから専門的知識の提供をしていただいた。 これらの調査結果の中で世界社会フォーラムについては、”Whither the Alter-Globalization Movement?: The Idea and Practice of the World Social Forum” Research Bulletin of Meisei University, No. 49, March 2013, pp. 63-72 にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のカタールでの参与観察を通じて、気候正義運動については、とくに「共通だが、差異ある責任原則」の観点である衡平性について、主に途上国と先進国との間で大きな認識のギャップがあることが明らかになった。それが温暖化問題の交渉進展の障害となっている点について、チュニジアの世界社会フォーラムでのClimate Spaceなどの社会運動体がどのような対抗軸を提示して、社会運動体の動員を図ろうとしているのかについても調査することができた。この点については、論文としてまとめる予定だが、まだ、完成には至っていない。 また、世界社会フォーラムが初めてイスラム圏であるチュニジアで開催されたが、そこでの参与観察を行ったことで、オルタ・グローバリゼーション運動を「アラブの春」、「15M運動」、「ウォール街を占拠せよ運動」との連関の中で捉える視座を得ることができた。この点については、現在、論文にまとめている。本稿は、『グローバル協力論入門(仮題)』の一つの章として法律文化社から2013年度中に出版される予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、気候正義運動について、第18回国連気候変動枠組条約締約国会議と第8回世界社会フォーラムにおいて行った参与観察の結果をまとめ、国内外の学会で発表する予定である。また、二つ目の事例研究である反債務運動について、研究方法としての分析項目の精緻化を図るとともに、資料収集を行う。平成25年度は、グローバル・レベルの世界社会フォーラムは開催されないので、地域レベルのフォーラム等で参与観察を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外調査のための出張費、国内外での学会発表、資料収集、専門的知識の提供、設備備品費の支出を予定している。
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