研究課題/領域番号 |
24530182
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
毛利 聡子 明星大学, 人文学部, 教授 (90318676)
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キーワード | オルタ・グローバリゼーション運動 / 世界社会フォーラム / 社会運動 / グローバリゼーション |
研究概要 |
チュニジア・チュニスで開催された世界社会フォーラム(2013年3月27~30日)での参与観察および資料収集やインタビューに基づき、気候正義運動に関する連帯運動の動員力、構想力、交渉力について考察することができた。 また、チュニジアは2011年に起こったアラブの民衆蜂起の起点であり、その後、北アフリカの他の都市やスペイン、ギリシャ、イギリス、米国にまで都市の占拠という形で「怒りの連鎖」運動が広まったことから、この「怒りの連鎖」運動とオルタ・グローバリゼーション運動の二つの社会運動がどのようにチュニジアでの世界社会フォーラムで交差したのか考察した。その結果、世界社会フォーラムにとって、二つの含意が導き出された。一つは、イスラム地域での開催が世界社会フォーラムの多元性をより高めたことである。そしてもう一つは、オルタ・グローバリゼーション運動が、欧州とラテンアメリカの中心軸からヨーロッパの周縁国とアラブ地域に多軸化したこことである こうした考察の結果については、2013年12月1日の国際開発学会第24回全国大会において「国境を超えて共振する社会運動―世界社会フォーラムは、「オルタ・グローバリゼーション運動」と「怒りの連鎖運動」の結節点になるのか」の題目で口頭発表を行った。また、「共振する社会運動は世界社会フォーラムに何をもたらすのか?」という題目で論稿としてまとめ、『グローバル協力論入門』(上村雄彦編著、法律文化社、2014年)第16章(195-207ページ)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
世界社会フォーラムにおいて参与観察を行い、また気候正義運動についての情報を収集することができ、これらの考察の結果を学会発表と論文発表として出版した点では、研究の目的は達成できた。一方で、反債務運動と水の民営化の事例研究についてのデータおよび資料収集が若干、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
世界社会フォーラムは隔年開催なので、2015年の世界社会フォーラムでも引き続き参与観察を行いたい。また、本課題で取り上げるテーマ別の連帯運動の事例研究三つのうち気候正義運動に集中してデータや文献等を収集したので、今後は、反債務運動と水の民営化反対運動についても、データの収集を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
世界社会フォーラムの開催が3月下旬に変更されたため、International Studies Association (ISA) で研究発表することができなかったこと、また、データ収集とインタビュー調査を実施する予定の水関係のフォーラムが2013年度に開催されなかったため。 2014年度および2015年度に開催される水関連のフォーラムに参加する。2014年8月に開催されるWorld International Studies Conference (WISC, フランクフルト)で口頭発表を予定。
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