新自由主義グローバリゼーションに対抗する民衆が集う場として2001年に始まったWSFは、オルタ・グローバリゼーション運動へと大きく変容を遂げた。本研究では15年間の変容プロセスを通じてテーマ別に収斂してきた社会正義運動の事例分析を行った。 気候正義運動については、気候正義の訴えが気候ガバナンスに内在する制度化された不正義を鋭く暴いていたが、気候資本主義にもとづく制度設計の変更にまでは至っていない。一方、水正義運動は、世界各地で水の再公営化を加速させることができたことから、人権としての水という構想力、中心組織のないネットワークのもつ動員力、そして住民訴訟という戦略が功を奏したと考えられる。
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