研究課題/領域番号 |
24530183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
青山 瑠妙 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20329022)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中国 |
研究概要 |
今年度は「中国の太平洋島嶼国外交戦略」というテーマに沿って中国の国内政策決定プロセスに焦点を合わせて研究を進めた。1990年代以降の対太平洋島嶼国の対外政策に関して、以下のような研究結果が得られた。 中国と太平洋島嶼国との関係には、1997年と2006年の二つの転換点が観察される。 1997年は中国のアジア外交を重視し始めた年であり、ここで中国とアジア太平洋島嶼国の関係が重視されたことは、中国がアジア太平洋島嶼国との関係をアジア外交の戦略の一環として位置づけていることを意味する。 また2006年に再びアジア太平洋島嶼国を重視するようになったのは、中国が地球温暖化に関する対外政策を重視した結果である。その後、中国はアジア太平洋島嶼国とのフォーラムを立ち上げ、アジア太平洋島嶼国において、アメリカや日本との主導権争いが展開されるようになった。 異なる文脈で中国が太平洋島嶼国との関係を重視するようになったが、しかしながら、1997年と2006年の取り組みはいずれに長続きせず、中国とアジア太平洋島嶼国とのフォーラムも制度化には至らなかった。その原因についての究明は、来年度以降の課題とする。 中国でのヒアリング調査を通じて中国の研究者との関係を構築できただけでなく、中国と太平洋島嶼国との関係に関する海外の研究者との交流を行うこともできた。こうしたことにより、来年度以降の実地調査に関しては、スムーズに行う環境が整えたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国の太平洋島嶼国外交戦略について、その政策のプロセスについて考察し、明らかにすることができた。 同じ分野との交流ネットワークも今年度においてある程度築き上げることができた。 中国と太平洋島嶼国との関係に関する文献調査もかなり進行している。 しかしながら、政策プロセスの究明に伴い、計画の段階で想定していなかった新たな疑問も浮上している。それに対する回答はまだ不十分であり、次年度以降に託したい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は地球温暖化問題をケースに、特に2006年以降の太平洋島嶼国に対する中国の取り組みを明らかにする。また、中国・アジア太平洋島嶼国とのフォーラムの設置プロセス、また制度化されなかった理由も合わせて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
来年度は、先行研究のリサーチを引き続き進めるとともに、中国と太平洋島嶼国との関係において研究が比較的に進んでいるオーストラリアやニュージーランドの研究者との情報交換を積極的に行う。
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