研究課題/領域番号 |
24530187
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
柄谷 利恵子 関西大学, 政策創造学部, 教授 (70325546)
|
キーワード | 国際移動 / 高度人材 / 入国管理政策 |
研究概要 |
本研究の2年目となる2013年度は、初年度に引き続き海外での調査および専門家からの知見の提供を受けた。また調査活動と平行して、英語と日本語の両方で成果を発表することができた。 海外での調査としては、2014年2月に1週間程度の時間をかけて、連合王国公文書館およびオックスフォード大学移民政策研究所で資料収集を行った。特にオックスフォード大学では、EU及びドイツにおける高度人材をめぐる受入政策の作成及び運用について、Dr. Hartmut Mayerにインタビューをすることができた。最新の知見をもった専門家にインタビューすることができ、日本の現状及び政策分析のための示唆を得ることができた。この点は今後の研究の進展に大きく寄与するものと期待している。 研究成果発表については、当該研究の出発点となる研究(基盤研究C 課題番号21530160)を踏まえ、英語と日本語でそれぞれ論文を発表した。「『移民』と『難民』の境界の歴史的起源-人の移動に関する国際レジームの誕生」墓田桂ら編著『難民・強制移動研究のフロンティア』(現代人文社、2014年)においては、今日の移民受け入れ政策の基盤となる、「移民」という概念の登場について、歴史的起源を明らかにした。また、 「国籍・入国管理政策と対外政策の交差:英国人性をめぐる議論から考える」『国際政治』第173号(2013年)では、英国の現在の受け入れ政策と対外政策が密接に連携していることを示した。加えて、2013年に龍谷大学アフラシア研究所で発表した論文を基に、"Female Domestic Workers on the Move: Examining Global Householding and Global De-Householding in Today’s World"を執筆し、これは2014年にPalgrave Macmillan社からオープンアクセスの形式で公表される準備が進んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書では2年次の計画目標として、①海外現地調査と②学会報告などを通じた研究成果の公開の2点を挙げていた。海外現地調査については、連合王国において、公文書館及び専門機関で資料収集を行った。加えて、専門家へのインタビューを通じて最新の知見を得ることができたのは、大きな成果である。 しかし、研究成果の公開が論文執筆・公表にとどまり、口頭報告の機会がなかった。討論者としては、龍谷大学アフラシア研究所主催で当該テーマに関する国際会議などに参加することができた。本年度は報告者としても口頭報告ができるよう、参加の機会を探っていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
当該研究は、本年度が最終年度にあたる。そこで、①連合王国での現地調査を通じ、資料収集を続ける。可能であれば、専門家へのインタビューの機会も探っていきたい。②また、学会報告や学会誌投稿などを通じて、成果発表の機会を広く求めていく。その際、③成果発表については、本年度同様、日本語だけでなく英語での執筆を通じて、海外に向けた情報発信に努めていく。
|