日本では少子高齢化の進行に伴い、世代間の利害対立が深刻化している。世代間衡平性の倫理による利害調整原理の提供は、厚生経済学の喫緊の課題である。また、テール・リスクも世代間衡平性と深く関わっている。地球温暖化による気候変動や東日本大震災のような大規模地震が起こる確率は低いが社会に甚大な損害を及ぼす潜在的危険性がテール・リスクである。テール・リスクの政策評価には、将来世代の効用の割引率選択が決定的に重要であるため、世代間衡平性の問題が生ずるのである。本研究では、厚生経済学・社会的選択理論の枠組みで、気候変動や大規模地震などのテール・リスク評価の問題を考察する。
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