誘惑下の自制問題とは,意思決定者が複数の価値基準を同時に持つ結果,心理的葛藤に直面することである.本研究では,相互依存関係にある複数個人の自制問題の分析を目的に,自制問題の代表的モデルであるGul-Pesendorferの選好を戦略型ゲームに取り入れ,「自制ゲーム」という新しいクラスのゲームを提案した.まず,自制ゲームにおける均衡概念を定式化し,均衡の存在証明を行った.また,典型的な自制ゲームのクラスの公理的基礎を与えた.その応用として,友人効果の下でのコミットメントデバイス需要を分析し,コミットメントデバイスの供給制約によって,プレイヤーの厚生を高め得ることを明らかにした.
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