研究課題/領域番号 |
24530194
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山崎 剛志 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50319141)
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キーワード | レント・シーキング / レース / パテント・レース |
研究概要 |
レント・シーキングの動学的モデルについて研究することが本研究の目的である。また、レント・シーキングの様々な応用モデルについても研究し、応用モデルの理解を深めながら、レント・シーキングの純粋理論モデルを理論的により深く研究してみたいと思っている。 上で述べたレント・シーキングの動学的モデルの研究を進めるために、平成24年度に引き続き平成25年度は動学的なレースのモデルについて研究を行った。綱引き競争のようなものをレースと呼ぶが、パテント・レースもレースの例である。レースとレント・シーキングには何の関連もないように思えるかも知れないが、実は非常に密接な関連があり、ある条件の下では二つのゲームは戦略的に同値になることが知られている。そこで、動学的なレースのモデルについて研究を行いながら動学的レント・シーキングの理論モデルについて研究を行っている。研究成果の一部は「Asymmetry Between Two Players in a Simple Model of a Race with Uncertainty」というタイトルの論文にまとめ、平成25年3月にアメリカ合衆国のニューオーリンズで開催されたPublic Choice学会設立50周年記念コンファレンスにおいて報告した。その論文で不十分であった点を改善し、「Asymmetry between Two Players in a Dynamic Race」というタイトルの論文にまとめ、平成25年7月にポルトガルのリスボンで開催されたPET13 (2013 Conference of the Association for Public Economic Theory)において報告した。また2期間のレント・シーキングモデルについても研究をはじめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも述べたように、ある条件の下では、レント・シーキングとレースは戦略的に同値であり、平成24年度に引き続き平成25年度は動学的なレースのモデルについて研究を行った。研究成果の一部は「Asymmetry Between Two Players in a Simple Model of a Race with Uncertainty」というタイトルの論文にまとめ、平成25年3月にアメリカ合衆国のニューオーリンズで開催されたPublic Choice学会設立50周年記念コンファレンスにおいて報告した。その論文で不十分であった点を改善し、「Asymmetry between Two Players in a Dynamic Race」というタイトルの論文にまとめ、平成25年7月にポルトガルのリスボンで開催されたPET13 (2013 Conference of the Association for Public Economic Theory)において報告した。2期間のレント・シーキングモデルについても研究をはじめたが、2期間モデルの基礎となる1期間のモデルの均衡の存在と一意性に関する論文を新潟大学経済学部の2013年9月出版の紀要に掲載できた。また、2013年中にレント・シーキングモデルも一例と扱うことができる一般的なAggregative Gameに関する著書も新潟大学現代社会研究科から出版することも出来た。故に本研究はおおむね順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要と現在までの達成度の項でも述べたように、本研究の研究成果の一部は二つの国際学会で報告することができた。今後は、まずはこの動学レースに関する論文の完成度を高め、この論文で研究したことを土台にして様々な方向に研究を発展させたい。オープン・ループの均衡については分析が終わっているが、同じ動学レースのモデルでクローズド・ループの均衡の性質について分析してみたいと思っている。また、既に簡潔に述べたように、2期間のレント・シーキングモデルについても研究をはじめた。レント・シーキングのコンテストを2回行うモデルについて考えているが、第1期のコンテストの勝敗は第2期のコンテストに様々な方法で影響を与える可能性がある。勝率を決める関数に影響を与える可能性もあれば、賞金に影響を与える可能性もある。そのようなモデルの均衡の存在と一意性についても分析もはじめたところである。 次年度から、上でも述べたように、既に二回国際学会で報告した動学レースに関する論文の完成度を高め、この論文で研究したことを土台にして様々な方向に研究を発展させる予定である。それらの成果もなるべく早くワーキング・ペーパーなどの論文の形にまとめ、研究会、学会で報告したい。また、2期間のレント・シーキングモデルに関する研究成果ももなるべく早く論文の形にまとめ、研究会、学会で報告したい。完成度が十分に高まれば、国際雑誌に投稿してみたい。そのように研究をすすめるために、研究会、学会の報告のための旅費、学会参加料、国際雑誌投稿料などに研究費を使うことを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費と書籍代が低めで済んだため。 次年度に旅費あるいは書籍代として使用したい。
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