研究課題/領域番号 |
24530196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石田 潤一郎 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (40324222)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 動学メカニズム / コミットメント / オークション / 交渉 / 国際研究者交流・台湾 |
研究概要 |
これまでのメカニズムデザインの文献においては,メカニズム設計者が完全なコミットメント能力を有し,事前に提示したメカニズムがどのように複雑なものであったとしてもそれにコミットすることができると想定していた.しかし,メカニズムが時間をおって進行する動学的な構造を持つ場合には,情報が次第に明らかになるために,メカニズムの途中の段階で異なるメカニズムに移行するインセンティブが生じるという時間非整合性の問題が生じる.本研究では,この仮定を緩め,メカニズム設計者が不完全なコミットメント能力しか持たない場合の均衡の特徴づけを行い,その厚生含意を明らかにすることを目的とする.一般にコミットメントの無い場合の動学メカニズムは,かなり分析が煩雑となるため,これまでにもあまり多くのことがわかっているとは言えず,その意味で大きな意義があると考える.平成24年度は,特にオークションと交渉の関連に着目し,Chia-Hui Chen (Academia Sinica, 研究協力者)と共同で,コミットメントの無い状態での動学的な交渉問題の分析を行った.この分析では,コミットメントの無い場合の均衡を構築し,コミットメント能力の有無による期待利得の差について理論的な特徴づけを行っている.この研究は,ほぼ論文として完成しており,近日中にもディスカッションペーパーとして公刊し,順次国際学術誌へ投稿を行う予定である.さらに,この研究とは別に会議における動学的な合意形成のプロセスの理論分析も進行している.この研究成果は,台北で開催された12th Public Economic Theory Conference(PET12)で報告を行った.この研究は現在,国際学術誌に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はすでに当初予定していたコミットメントの無い場合の交渉問題についての分析を終え,論文としてもすでにほぼ仕上がっている状態である.また,同時に並行して,その他のプロジェクトに関しても予備的な分析を開始している.
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今後の研究の推進方策 |
今後もこれまで通りに研究協力者と緊密な連携をとりながら,いくつかのプロジェクトに関して同時に進行させていく予定である.特に,今年度は,これまでのアドバースセレクションの環境とは一線を画し,動学的環境でのモラルハザードやシグナリングの要素を取り入れた研究を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究協力者(Chia-Hui Chen, Academia Sinica)との研究打ち合わせのための旅費(大阪―台北の往復)として使用する予定である.
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