研究課題/領域番号 |
24530196
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石田 潤一郎 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (40324222)
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キーワード | 動学メカニズム / コミットメント / オークション / 交渉 / 国際研究者交流・台湾 |
研究概要 |
これまでのメカニズムデザインの文献においては,メカニズム設計者が完全あコミットメント能力を有し,事前に提示したメカニズムがどのように複雑なものであったとしても,そのメカニズムにコミットすることが可能あると想定していた.しかし,オークションのようにメカニズムが時間をおって進行する動学的な構造を持つ場合には,情報が次第に明らかになるという性質より,メカニズムの途中で異なるメカニズムに移行するインセンティブが生じる可能性が存在する.本研究では,この過程を緩め,メカニズム設計者が不完全なコミットメント能力しか持たない場合の均衡の特徴づけを行い,その厚生または政策上の含意を明らかとすることを目的とする.一般にコミットメントのない場合の動学メカニズムは,かなり分析が煩雑となるため,これまでにもあまり多くのことがわかっているとは言えず,その意味で大きな意義があると考える.平成25年度は,Chia-Hui Chen(Academia Sinica,研究協力者)と共同で,オークションと交渉の関係に着目した論文"Auctions Versus Negotiations: The Role of Price Discrimination"を完成させた.この論文は,現在学術誌Theoretical Economicsからの改定要求を受け改定中である.また,雇用契約に期限を設けるup-or-out契約の理論的な研究も進めている.この研究は"Up-or-Out Contracts: A Dynamic Perspective"というタイトルですでにいくつかの国際ワークショップおよび研究会で報告を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在は学術誌の改定要求に従い改定中の論文に加え,up-or-out契約の論文についても分析をほぼ終えて論文の執筆中である.また,その他のプロジェクトに関しても予備的な分析を開始している.
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今後の研究の推進方策 |
今後もこれまで通り研究協力者と緊密な連携をとりながら,いくつかのプロジェクトに関して同時に進行させていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は当該研究費とは独立の研究プログラムで台湾に長期滞在したため当初予定よりも旅費が少なかったため. 共同研究打ち合わせのために台湾への出張を複数回計画しており,その旅費として使用する.
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