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2012 年度 実施状況報告書

公営賭博における裁定取引の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 24530197
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神戸大学

研究代表者

芦谷 政浩  神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10304057)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード裁定取引
研究概要

株式などの金融市場における裁定取引については膨大な研究成果が蓄積されているが、その他の市場における裁定取引の研究は未だに発展途上である。本研究では、公営賭博の勝者投票券が持つ金融商品としての側面に光を当てて、そこでの裁定取引の可能性を探る。この種の研究は諸外国でも珍しく、本研究の研究代表者の知る限りでは国内初の試みである。
公営賭博における勝者投票券(馬券や車券など)は「条件付き債券」の一種であるため、通常の金融市場と同様に、経済学的手法による分析が可能である。本研究では、公営賭博において、裁定取引による利潤獲得機会がどの程度残されているのかを実証的に分析する。具体的には、株式市場における「日経平均指数」と「日経平均バスケット(日経平均構成銘柄を個別に購入したもの:購入比率を調整すれば日経平均指数を複製できる)」の間での裁定取引と同様に、馬券市場における「単勝1番」と「1番の流し(1番の馬を1着、他の馬を2着に指定した連勝単式馬券を、1-2, 1-3, 1-4, ...と全ての組み合わせについて購入すること:購入比率を調整すれば単勝馬券を複製できる)」の間での裁定取引を考える。但し、公営賭博においては勝者投票券の空売りが認められていないので、金融市場のように「割高な指数を空売りし、割安なバスケットを現物買いする」といった単純な裁定手法は使えない。そこで本研究では、各馬について一番割安な方法で単勝馬券を合成し、「1着・2着・3着の着順がどうなったとしても、払戻金総額が勝者投票券の購入費用を上回る」ような勝者投票券の買い方が存在するかを検討する。
平成24年度は本研究課題の初年度として、準備的な作業を中心に行った。具体的には、JRA主催の全レースについて勝者投票券の販売データを収集し、NAR主催の全レースについて最終オッズ表を収集した。また、関連書籍を積極的に収集した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日本の地方公営競馬(NAR)では、高知競馬と門別競馬を除いて、各レースの売上票数を一般に公開していない。このため、分析の基礎となる「売上票数データ」を入手するには、各レースの最終オッズ表を馬券の種類別にホームページからダウンロードし、そこから売上票数を逆算する必要がある。NARのレースは毎日3から6つの競馬場で開催されていて、各競馬場では毎日10から12レースが行われる。つまり、毎日30から70のレースについて、各出走馬ごとに、三連勝単式・馬番連勝単式・枠番連勝単式・単勝・馬番連勝複式・枠番連勝複式の最終オッズ表を入手せねばならない。しかも、最終オッズ表は、レース開催の5日後にはホームページから削除される。
今年度は、NAR主催の全レースについて最終オッズ表を入手することが目標であったが、4/28から3/31までのデータを無事に入手することができた。次年度の4月以降も順調にデータを取得しているので、あと少しでNARの年間データを揃えることができる。地方競馬に関しては「売上票数データの取得」が最大の難関であり、労働集約的な作業を長時間こなさなければならない。これを初年度にほぼクリアしたことで、次年度以降の研究に大きな弾みがつくと考える。

今後の研究の推進方策

4月30日には、過去1年間に開催されたNAR主催の全レースについて、最終オッズ表を入手し終える予定である。その後は、最終オッズ表から売上票数データを逆算する作業を進めていく。この作業も労働集約的であり、多大な作業時間を必要とするが、この山を越えれば史上初の分析が可能となるので、焦らず弛まず作業を進めていくつもりである。
このデータ加工作業と並行して、「必ず儲かる馬券の買い方」が存在するレース、すなわちlockが可能なレースに関する先行研究を調査する予定である。このため、関連書籍を購入するだけでなく、内外の関連する研究分野の専門家とセミナー等を通じて意見交換を行い、特に欧米諸国の研究成果を積極的に吸収することにも重点をおきたい。謝金・旅費は、この専門的知識の提供を受けるために使用する予定である。
売上票数データを逆算する作業が完了したレースについては、実際にlockが可能であったかについての分析を行う。データ加工は人海戦術的な要素が強いため、当年度中にどの程度のレースについて分析作業に入れるかは不明であるが、いくつかのレース場については(数ヶ月分程度の分析による)暫定的な分析結果をまとめられるように努力する所存である。

次年度の研究費の使用計画

前年度からの予算繰り越しが207円あるものの、おおむね計画通りに研究費を使用している。

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公開日: 2014-07-24  

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