研究課題/領域番号 |
24530200
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
渡辺 隆裕 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (70220895)
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キーワード | ゲーム理論 / 有限ゲーム / 純粋戦略均衡 / 対称ゲーム / 離散不動点定理 |
研究概要 |
平成25年度は,本研究テーマの中心的な2つの課題:(1)リアルオプション・ゲームの離散時間モデル(2)動的オークションにおけるシングルエージェントとマルチエージェントのモデル,の双方を含むような動的不確実性と情報の非対称性があるゲームのモデルの構築とその分析を行った.双方を含む統合的なモデルは得ることができたが,それを分析したことによる新しい結果は得ることができなかった.研究を行う場合に障害となっているのは「時間」「状態」「戦略」の離散性を取り扱うことである.特に戦略が有限(離散)であるときの動学ゲームのモデル構築と,その数理的な性質の解明が必要である. そこで平成24年度に引き続き,上記の性質の解明の足がかりとなる「有限n人ゲームの純粋戦略ナッシュ均衡の存在条件」についての研究を行った.本大学の離散均衡点の研究者である飯村卓也氏とも共同研究を行った結果,平成24年度に「有限n人ゲーム対称ゲームが離散凹関数の利得関数を持つ場合に純粋戦略ナッシュ均衡が存在する」という結果を得ている.平成25年度は,この結果を更に精緻化するとともに,昨年度の国際学会での議論を考慮して考察を深め,論文としてまとめた.この論文はDiscrete Applied Mathematicsに採択され,掲載されるに至っている. また上記の結果を発展させ,「有限n人ゲームの純粋戦略ナッシュ均衡の存在条件」を離散凹関数だけではなく,それを含む一般的な十分条件として表現されることを明らかにした.この結果はEURO2013(2013年ヨーロッパOR学会)において発表した.結果については現在,精緻化し考察を深めながら,論文として取りまとめている最中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の中心的な2つの課題:(1)リアルオプション・ゲームの離散時間モデル(2)動的オークションにおける,シングルエージェントとマルチエージェントのモデル,の双方を含む汎用的な動的不確実性と情報の非対称性があるゲームのモデルの構築とその分析の進捗状況に関しては芳しくない. しかしながら,研究を行う場合に障害となっている「時間」「状態」「戦略」の離散性を取り扱うための「戦略が有限であるゲームの純粋戦略均衡の性質」においては,大きな発展を見せている.既にいくつかの論文は採択され,他の結果も得られている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の中心的な2つの課題においての進展は,今後の見通しは必ずしも明るくはない.しかしながら,その障害を取り除くための「戦略が有限であるゲームの純粋戦略均衡の性質」においては大きな発展を見せており,こちらの研究を発展させる方向で研究を推進してゆく.最終的には,この結果を本来の結果に適用することができれば,研究は完成するが,最終年度でもそこまで到達することは困難はないかと考えている.そこで,「戦略が有限であるゲームの純粋戦略均衡の性質」いついて研究の重心を移し,研究を遂行してゆく.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度において,使用計画に対する価格変動などによって,僅かな残額が生じた. 次年度の消耗品購入に充てる予定である.
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