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2014 年度 実績報告書

公共性の総合的規範理論の構築をめざして:経済学、政治学、法学の協同

研究課題

研究課題/領域番号 24530204
研究機関早稲田大学

研究代表者

須賀 晃一  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00171116)

研究分担者 若松 良樹  学習院大学, 法務研究科, 教授 (20212318)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード公共性 / 規範 / パターナリズム / 非合理性 / リベラル・パラドックス / 条件つき権利
研究実績の概要

2014年度の研究成果は、次の3つである。
第1は、公共性の規範理論におけるパターナリズムの位置づけである。人間の合理性を強調する経済学における自由放任主義と、人間の非合理性を強調する行動経済学に依拠した新しいパターナリズムとを、合理性観念に依拠しながら分析した。その結果、①経済学において用いられている合理性観念は単一ではなく、複数の要素を含むこと、②行動経済学は経済学の合理性観念を前提とするため、合理性における混乱が伝染していること、③これらの合理性観念を区分するならば、自由放任主義とパターナリズムは正当化できない。
第2は、リバタリアン・パターナリズムの正当性についての分析である。経済学で用いられている合理性観念は自己利益の最大化と内的整合性という別個の要素から成り立ち、それらを恣意的に使い分けることによってリバタリアン・パターナリズムの規範的な主張が正当化されていることを明らかにした。自己利益の最大化に個人が失敗しているとするならば、パターナリズムが正当化されるかもしないが、リバタリアン・パターナリズムが実証しているのは自己利益の最大化の失敗ではなく、内的整合性の失敗であり、内的整合性の失敗はパターナリズムの正当化とはならない。
第3は、公共性の規範理論におけるリベラル・パラドックスの意味づけである。リベラル・パラドックスをめぐって、権利の社会選択的定式化とゲーム形式的定式化の2つが提案されてきた。これらの定式化が十分かを「条件つき権利」に即して検討した。条件つき権利とは相手の権利行使の仕方によって存在したり、権利主体に許される行為の集合が変化していく権利であり、従来の権利の定式化が条件つき権利の分析には成功していないことを示した。このことは、従来の定式化が無時間的な枠組みを前提としていることの帰結であり、時間的な次元を考慮に入れるべきことを示している。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (4件)

  • [学会発表] モビ-ディックを求めて2015

    • 著者名/発表者名
      若松良樹
    • 学会等名
      第44回エコノ・リーガル・スタディーズワークショップ
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2015-03-15
    • 招待講演
  • [学会発表] 正義にかなう行動とは2014

    • 著者名/発表者名
      須賀晃一
    • 学会等名
      復興正義研究会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2014-12-13
  • [学会発表] Order Matters: The Lottery and the Future Generations2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshiki Wakamatsu
    • 学会等名
      MANCEPT
    • 発表場所
      Manchester University
    • 年月日
      2014-09-08
  • [学会発表] Mill on Paternalism: Against the Best Judge Argument2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshiki Wakamatsu
    • 学会等名
      The International Society for Utilitarian Studies
    • 発表場所
      横浜国立大学
    • 年月日
      2014-08-20
  • [学会発表] パターナリズムについて2014

    • 著者名/発表者名
      若松良樹
    • 学会等名
      東京法哲学研究会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2014-07-12
  • [学会発表] リバタリアン・パターナリズムの規範的分析2014

    • 著者名/発表者名
      若松良樹
    • 学会等名
      アドバンスト研究セミナー
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2014-07-04
    • 招待講演
  • [図書] 井上彰、田村哲樹編『政治理論とは何か』2014

    • 著者名/発表者名
      若松良樹
    • 総ページ数
      217-245
    • 出版者
      風行社
  • [図書] 亀本洋編『現代法の動態』2014

    • 著者名/発表者名
      若松良樹
    • 総ページ数
      275-298
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] 井上彰、田村哲樹編『政治理論とは何か』2014

    • 著者名/発表者名
      須賀晃一
    • 総ページ数
      247-279
    • 出版者
      風行社
  • [図書] 須賀晃一編『公共経済学講義:理論から政策へ』2014

    • 著者名/発表者名
      須賀晃一
    • 総ページ数
      411
    • 出版者
      有斐閣

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公開日: 2016-06-01  

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