研究課題/領域番号 |
24530205
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国際大学 |
研究代表者 |
柿中 真 国際大学, 国際関係学研究科, 教授 (40421234)
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研究分担者 |
小谷 浩示 国際大学, 国際関係学研究科, 教授 (80422583)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 本源的動機 / 公共財自発的供給 / 政府介入メカニズム |
研究概要 |
本研究では、政府介入メカニズムの公共財自発的供給に対する効果と同時に社会厚生に対する効果を、本源的動機を組み入れた経済理論モデルを基に、理論的かつ実証的に評価することを主眼とする。本研究の目的は、どのような政府介入メカニズムが、どのような形態の本源的動機で特徴付けられる社会において、人々が自発的に協力し、社会厚生の向上をもたらすのかを検証することである。 平成24年度においては、自発的協力、本源的動機及び政府介入メカニズムに関連した先行研究文献のレビューを行った。その上で、Kakinaka and Kotani (2011)により構築されたElster型の本源的動機に関する理論モデルを応用し、本源的動機の一種であるSocial Motivationの経済理論モデルを構築した。単純化した社会の理論的考察を行い、現在、査読付き学術雑誌に投稿する準備を進めている。また、実証研究に関しては、実際の公共財供給問題に関するフィールド社会家計調査から得られたデータを基にした計量分析を行った。その研究結果は、"Voluntary participation in community collaborative forest management: A case study of Central Java, Indonesia" Lestari, Kotani, and Kakinaka (2012) IUJ Working Paper EMS2012-12、及び"Mode Choices for Trips to Work in Urban Beijing: An Empirical Analysis for Transportation Congestion" Zhao, Kotani, and Kakinaka (2012), mimeoに纏めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、研究実施計画通り、(1)文献レビュー、(2)理論分析、(3)実証分析を実施し、全般的には順調であった。(2)理論分析に関しては、自発的協力、本源的動機(特にSocial motivation)及び政府介入メカニズムに関連した理論モデルを構築し、単純化した社会の理論的考察を行った。しかし、様々な政府介入メカニズムを比較・考察できる理論モデルの構築は今後の課題として残っている。また、(3)実証分析に関しては、昨年度以前に実施したインドネシア及び中国での社会家計調査から得られたデータを基に、実証分析を行った。当初、昨年度中に追加の社会家計調査を行う予定であったが、開発途上国に特有の事務手続きの複雑さから、予想以上にデータ収集のための準備に時間を費やしたことなどから、次年度での繰り越し実施とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、理論研究及び実証研究を実施する。理論研究については、昨年度に引き続き、単純化した社会の理論的考察を行う。特に、本源的動機を組み入れた理論モデルを基に、各政府介入メカニズム(直接的供給、課税・補助金等)の自発的供給行動に対する影響を理論検証し、社会厚生上最適な政府介入メカニズムを導出する。また、実証研究については、開発途上国における社会家計調査を進め、取得されたデータを基に理論研究で導出された結果を実証的に分析する。さらに、社会家計調査による実証研究を補完する意味で、被験者の選好など諸要因を実験的に統制し理論的に想定される状況を作り出すことができる経済実験を実施することによって、理論研究で導出された結果の妥当性を実証検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
理論研究において、数値計算が必要となり、既存コンピュータのバージョンアップ及び更新が必要となる。研究費の一部は研究環境の整備に費やす予定である。また、開発途上国における社会家計調査の実施及び経済実験ゲームの実施のために必要な出張費・交通費・謝金などの費用を研究費の範囲内で使用する予定である。さらに、国内・海外での意見交換・論文発表を目的とした出張費も研究費から使用する予定である。
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