研究課題/領域番号 |
24530205
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研究機関 | 国際大学 |
研究代表者 |
柿中 真 国際大学, 国際関係学研究科, 教授 (40421234)
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研究分担者 |
小谷 浩示 国際大学, 国際関係学研究科, 教授 (80422583)
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キーワード | 本源的動機 / 公共財自発的供給 / 政府介入メカニズム |
研究概要 |
本研究では、政府介入メカニズムの公共財自発的供給に対する効果と社会厚生に対する効果を、本源的動機を組み入れた理論モデルを構築し、理論的かつ実証的に評価する。本研究の目的は、どのような政府介入メカニズムが、本源的動機で特徴付けられる社会において、人々が自発的に協力し、社会厚生の向上をもたらすのかを検証することである。 平成25年度においては、Elster型本源的動機を組入れた理論モデル(Kakinaka and Kotani (2011))を拡張し、他の形態の本源的動機であるSocial Motivationを組入れた理論モデルの構築を試み、政府介入効果を考察した。現在、査読付き国際専門雑誌に投稿する段階にある。 また、実証研究に関しては、昨年度までに実施したインドネシア及び中国などでの自発的公共財供給問題に関するフィールド社会家計調査で得られたデータを基に分析を行い、研究論文の執筆・修正に取り組んだ。研究成果は「Voluntary participation in community collaborative forest management: A case study of Central Java, Indonesia, Resubmitted to Jounal of Environmental Management」、「Voluntary mode choice for trips to work in urban Beijing: An empirical analysis for transportation congestion」、「Pro-sociality on prevention of natural disaster」に纏めており、現在国際専門雑誌に投稿中もしくは投稿に向けて準備中である。さらに、新規に、ミャンマーのヤンゴン及びマンダレーにて、自発的供給問題に関するフィールド社会調査を実施し、論文執筆に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、理論研究には若干の課題を残したものの、概ね研究推進方策通り実施した。理論研究については、本源的動機の一種であるSocial Motivationを組入れた理論モデルの構築を試み、政府介入の効果を考察した。しかし、政府介入メカニズム(直接的供給、課税・補助金等)が自発的供給に与える影響について、Social Motivationを基にした理論モデルとElster型本源的動機を基にした理論モデル(Kakinaka and Kotani (2011))とでどのように政策含意が異なるのかに関する理論分析は未だ十分とは言えず、今後の課題である。 また、実証研究については、昨年度までに実施したインドネシア及び中国などでのフィールド社会家計調査で得られたデータを基に実証分析を実施・継続し、3本の研究論文の執筆もしくは査読付き国際専門雑誌からのレフェリーコメントを踏まえた論文修正に取り組んだ。そのことに加え、新規に、社会公共団体に対する自発的貢献とその動機付け及び公共機関の資金的介入に関するフィールド社会調査をミャンマーのヤンゴン及びマンダレーにて実施し、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は昨年度に引き続き理論研究及び実証研究を実施する。理論研究においては、現在取り組んでいるSocial Motivationの本源的動機を基にした理論モデルの構築と政府介入メカニズム(直接的供給・課税・補助金等)の役割を理論検証した研究論文を精緻化する。その上で、Elster型の本源的動機を持つ人とSocial Motivationの本源的動機を持つ人から成る混在社会における自発的公共財供給問題とそれに対する政府介入メカニズムの役割を理論的に考察する研究論文の執筆に取り組む。 また、構築された本源的動機を組み入れた経済理論モデルとその理論分析結果の妥当性を考察するために実証検証を実施する。具体的には、ミャンマーなど(可能であれば他のアジア諸国含む)開発途上国における実際の自発的公共財供給問題に関してフィールド社会家計調査を昨年度に引き続き実施し、計量分析を行い、論文執筆に取り組む。さらに、このフィールド社会家計調査による実証研究を補完するために、被験者の選考など諸要因を実験的に統制し理論的に想定される状況を創出することができる経済実験を実施することによって、理論研究で導きだされた結果の妥当性を実証検証し、論文執筆に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度はミャンマーでのフィールド社会調査を実施したが、時間的制約もあり、すべての地域で実施することができなかった。また、経済実験についても、時間的制約から次年度に実施繰り越しとなった。 ミャンマーでのフィールド社会調査および経済実験の実施を予定しており、当初予定通りの使用計画となる。
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