研究課題/領域番号 |
24530206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
後閑 洋一 立命館大学, 経済学部, 教授 (30324502)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 政府の財源調達手段 |
研究概要 |
研究論文に関しては「Indeterminacy, labor and capital income taxes and non-linear tax schedules」というタイトルの論文が Journal of Macroeconomics 36 (2013) p.130-149 に掲載された. 研究発表に関しては2012年6月12‐14日においてThe Association for Public Economic Theory 主催のthirteenth annual conference (PET12)が台湾の台北にある Academia Sinicaにて開催されたが,そこで「 Balanced Budgets, Patterns of Aggregate Fluctuations and an Overlapping Generations Model with Externalities」という私の論文の研究報告を6月14日に行った. また,同じく研究発表についてであるが the Society for Nonlinear Dynamics and Econometrics主催のThe 21th Annual Symposiumが 2013年3月28-29日にイタリアのthe University of Milano-Bicocca で開催されたが,3月28日に「 Balanced Budgets, Patterns of Aggregate Fluctuations and an Overlapping Generations Model with Externalities」の論文の研究報告を行った. 2つの学会ともに同じ分野からの参加者も多くフロアーから有益なコメントを受けることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は政府の財源調達手段と経済的な不安定性の関係に着目した分析を主に行った.特に世代重複モデルを用いることによって代表的個人のモデルを用いて分析した場合に比べ結論が逆転することが判明した. 私が用いた世代重複モデルはライヒリンにより考案されたモデルであるが,民間部門の投資資金の出所が労働所得というところに大きな特徴がある.以前私がおこなった分析では代表的個人のウッドフォードによるモデルを用いたわけだが,そのモデルにおいては民間投資の出所は資本所得であった. すなわち政府の資金調達手段の違いを明示的に考えることと同じくらい民間部門の投資の資金調達手段を考えることが経済成長・循環パターンを考察するうえで需要であることがわかった. この研究は昨年度にいくつかの海外の学会で発表を行ったので,本年度はレフリー制のジャーナルへ投稿する予定である. また,政府の資金調達手段としての労働所得税と資本所得税の2つに累進的な形態を考慮し,累進性と経済的な不安定性の発生頻度の関係を執筆した論文を完成させ,上記で示したようにレフリー制の学術誌,Journal of Macroeconomicsに掲載することができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は消費の外部性についての研究を積極的に行いたいと考えている.昨年度は政府の資金調達手段についての分析を中心におこなってきたのだが,消費税による資金調達手段を考えた場合,消費の外部性と何らかの対応関係があることが判明した. よって今年度はその対応関係をより厳密に定式化して論文の形にまとめ,海外の学会で積極的に発表を行い,有識者からのコメントをもとに完成度を高めていくことが今後の研究の推進方策である. 昨年度行った政府の財源の分析と同様にレフリー性の学術誌に掲載されるよう研究を進めていくことは言うまでもないことである.
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次年度の研究費の使用計画 |
12年度の経費執行はほぼ予定通りであったがより効率的に経費を執行した結果,10数万円が未使用金として生じた.この額は13年度前期に行く国際学会の参加費および完成に近い論文の英文構成などに使う予定である. 本年度は消費の外部性と消費税の対応関係を考察した論文の研究発表を海外の学会で行いたいと考えている.よって科研費の大半は海外への旅費に使用することになると思う.さらにそこで有識者からのコメントをもとに論文を完成させ英文構成の費用にも使う予定である. また,それらの研究を行うに当たって必要とされる書籍(特に洋書)なども科研費で購入する予定である.
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