組織における情報の学習とインセンティブの問題を不完備契約の枠組みのもとで交渉モデルを構築することにより分析した。第1に、組織の形に対応する交渉モデルを構築し、人的資本投資を行う従業員のインセンティブ問題が組織形態の選択に影響を与えることを明らかにした。第2に、従業員間の仕事の補完性と契約の外部性が賃金交渉に与える影響を分析し、従業員が共同で賃金交渉をする均衡の存在を示した。第3に、従業員の能力に関する雇用主と従業員の間の信念の差が、昇進の時期にどのように影響を与えるか分析した。従業員が自分の能力について自信過剰であり、シグナルの情報の精度が高いほど、遅い昇進が望ましいことを示した。
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