研究課題/領域番号 |
24530214
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
板井 広明 お茶の水女子大学, ジェンダー研究センター, 技術補佐員(研究支援推進員) (60405032)
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キーワード | 食の倫理 |
研究概要 |
本年度は現代の食の倫理の検討に重点を置き、映画『King Corn』のベースともなった『雑食動物のジレンマ』で知られるM. Pollanの食の倫理を、Pollan, M. (2008) In Defense of Food: An Eater's Manifesto.および(2009)Food Rules: An Eater's Manual.などを素材に、P. Singerの功利主義的な食の倫理論と比較させながら、より詳細に検討した。功利主義的な食の倫理では見落とされがちな、食を通じた他者との協働の重要性や、当該社会の一般的観念とあるべき食の倫理との妥協・調整という、ある種、徳倫理的な問題をより深く考察することへと繋がった。 夏期には、アメリカへ現地調査へ行き、ニューヨークではフードスタンプ事務所で情報を得、また廃棄処分された食料などで生活するfreeganをはじめ、公園などで野草を摘んで食を考えるオルタナティヴな運動について見聞した。 またシカゴでは、かつて一大食肉加工工場であった移民都市としての特徴から、旧東欧圏や中南米からの出稼ぎ労働者が形成・影響を及ぼした独自な食文化を見聞した。とりわけ「食の砂漠」(生鮮食品へのアクセスが或る一地域において限定されているか、まったくないこと)の現況を見聞した。アメリカの大都市における食のネットワークシステムがモザイク状に偏ったものになっていることを改めて知ることができた。 年度後半には、平成26年8月20-22日に横浜国大で開催される国際功利主義学会第13回大会(International Society for Utilitarian Studies)での報告原稿作成のための資料検討にも取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた現代の食の倫理を検討する作業が概ね順調に進んでいる。ただ国際功利主義学会で報告するペーパーの内容が予定よりも深められていないゆえに、おおむね順調に進展としている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り、8月にある国際功利主義学会で報告をし、海外や国内の研究者と意見交換を行ない、ベンサム研究および食の倫理の研究を深めていく。まだいくつか検討しなければならないベンサム草稿や周辺の資料の検討、また現代英国における食の取り組みの取材を継続して行なう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ボイスレコーダーの見積もりを事務にとってもらったものの結局発注しなかったものが計上されてしまっていたため、残額が発生した模様(ボイスレコーダーは自身で購入した)。 同じく備品購入に充てる。
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