本研究では,1919年にロンドン・スクール・オブ・エコノミックスで最初の統計学教授になったアーサー・レオン・ボウレイ(1869-1957)の統計学方法論を取り上げ,マーシャル経済学の継承と展開を検討した。マーシャルは,経済学研究の初期には経済理論の数式化を図り,演繹法に関心を寄せていたが,彼は若い時から生涯にわたり統計資料など事実の蒐集・整理・分析を行い,これらの分野の仕事を高く評価し自らの研究において重きを置いていた。ボウレイは彼の影響を受け,社会改良のため統計学の社会科学への応用を考え,応用経済学の発展に貢献した。彼がマーシャルの応用経済学分野の継承者であることを明らかした。
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