研究課題/領域番号 |
24530217
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
柳田 芳伸 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (80239813)
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研究分担者 |
山崎 好裕 福岡大学, 経済学部, 教授 (90268970)
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キーワード | 未行のマルサス書簡 |
研究概要 |
研究代表者(柳田)、研究分担者(山崎)、および3人の研究協力者(荒井、中野、真鍋)は、昨年度収集しえた多大な書簡のうち、一部の関連書簡(膨大な量のF.ジェフリー、並びにW.ホートンの遣り取りした書簡については、学術的な意義の有無、あるいはマルサスとの関連性の濃淡という観点からなお精査、選定作業中)を除いて、各自が対象とするマルサス書簡を解読し、活字化し終えたにとどまらず、その過半は翻訳し終え、かつその一部については訳注をも付し、公表しえた。 また、11月3日に福岡大学で開催した第2回マルサス書簡研究会では、5人が各々が活字化し、翻訳した書簡を相互に交換し、点検し合った。代表者は「マルサス=パーネル書簡から見えてくるもの」という報告をなし、研究分担者は「ウィーウェル・ホーナー・ウィルモット・ホートン宛書簡から見えてくるマルサスの問題圏」という題目で報告し、本研究の中核部を具体化した。 その他、3人の研究協力者もそれぞれ「一次資料に見るフランシス・ジェフリとマルサス」(荒井)、「チャーマーズ宛マルサス書簡から見えるもの」(真鍋)、及び「T.R.マルサスとW.ゴドウィンとの人口論争の一側面ー1798年8月20日のマルサスからゴドウィンへの手紙を中心にー」(中野)という中間報告を行い、忌憚のない意見交換を行った。このうち、中野の報告はほぼ完成原稿に至っていた言える。以上のことによって、最終年度の成果報告への準備が十分に整ったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
何よりもまず、本研究の開始時点で想定した以上の未刊行のマルサス書簡をかなりな程度解読、活字化し終えたこと、またその過半を翻訳し終えたことがあげられる。確かに、そのうちの膨大な量のF.ジェフリー、並びにW.ホートンの遣り取りした書簡についてはまだ未整理の感は否めないけれども、他の有益な書簡については、既に翻訳もほぼ終了し、およそその半数については公表し、またそれを使っての新たなマルサス研究にも着手しえているから。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の本年、新たに田中育久男を研究協力者に加え、6人による研究陣とする。田中にはS.ホイットブレッド=マルサス書簡を担当してもらう。6人全員が担当する書簡の翻訳を完成させ、またあわせて可能な限りでの訳注を付し、書簡を完訳する。そのうえで、6人が共同で来年5月に滋賀大学で開催される経済学史学会の全国大会で、本研究で得たマルサス書簡を使った新たなマルサス研究の方向についてセション報告し、その後最終的な完成稿を仕上げていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定した海外への最終的な調査渡航を実施できなかったから。 研究会を複数回開催したい。また研究の最終的な詰めにおいて、必要に応じて関係文献を所蔵する機関に出向き、調査、確認したい。
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