まだ世界の各所に散在している未刊のマルサス書簡(Malthus,Thomas Robertが同時代人たちと遣り取りした書簡)のうちから精選し、それらを活字化し、翻訳した。その上でそれらの書簡の書面を手掛かりに、マルサスや同時代人たちの著作を読み直し、既存の研究に新生面を切り開こうと試みた。併せて、これまで知られることのなかったマルサスと同時代人たちとの知的親交の幾つかの足跡をも究明しえた。 とりわけマルサスのパーネル、ホーナー、チャーマーズとの知的交流の墨痕を解明できたことは大きな成果といえよう。また42通に及ぶマルサス書簡を訳注を付し、翻訳しえたことも今後の研究にとって意義深いであろう。
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