研究課題/領域番号 |
24530219
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
久保 真 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (30276399)
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キーワード | ケンブリッジ / 古典派経済学 / 道徳科学 / 道徳哲学 |
研究概要 |
18世紀から19世紀にかけてのケンブリッジ大学における経済学の有り様を探る本研究の二年目として、主に二つのものを対象として研究を行った。 ひとつは、19世紀ケンブリッジで行われた道徳科学トライポスに包摂されるものとしての経済学講義および道徳哲学講義である。具体的には、慶應義塾大学三田図書館に所蔵されている、ジョージ・プライム(George Pryme)の経済学講義ノートおよびウィリアム・ヒューウェル(William Whewell)の道徳哲学講義が分析担当である。すでに前年度(2012年度)に前者単独での分析は行っていたが、当該年度(2013年度)では後者の分析およびそれとの関連において前者の分析を行っていった。両者は以前より経済学方法論において対立する関係にあったことから、作業仮説として両者のそうした対立が浮き彫りになるのはではないかと想定して分析を進めたが、実際には両者の講義内容は交錯するところがほとんどなく、むしろトライポス内の両科目の独立性を明らかにすることとなった。これらの分析結果については、口頭報告を複数回行ったのち、学術雑誌への投稿を行った(本報告書執筆時点では、査読結果は戻って来ていない)。 もうひとつは、19世紀初頭のケンブリッジの知的世界における中心人物たるジョン・ハーシェル(John Herschel)の往復書簡の検討である。特に、経済学者リチャード・ジョーンズ(Ricardo Jones)との交流に焦点を当て分析を進めているが、まだ緒に就いたばかりであり、はっきりとした分析結果が得られるところまで進んでいないのが現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画遂行がやや遅れていると評価する。 当初の計画では、初年度(2012年度)にイギリスでの資料調査旅行を行う予定であったが、研究代表者の所属研究機関移籍に伴う繁忙のため、実施できなかった。二年目の当該年度(2013年度)には、その遅れを取り戻すべく、研究計画を若干変更し研究を遂行したものの、初年度の遅れを取り戻すにはまだ十分とは言えない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度(2012年度)・第二年度(2013年度)に予定していたが実施できなかったイギリスでの資料調査旅行を最終年度(2014年度)に行う。また、すでに得られた分析結果については、北米経済学史学会にて口頭報告を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
図書資料を購入する予定であったが、所属研究機関ですでに利用可能な状態であったため、未使用額が発生した。 イギリスへの資料調査の出張旅費に充当する予定である。
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