研究概要 |
本研究では、従属的な確率過程の臨界パラメータ(critical parameter)に関する検定と変化点問題について、停止時刻を用いて推測をおこなう統計的逐次解析の手法を開発する。今年度行った研究は、①1階自己回帰過程(autoregressive process with order 1; AR(1))の非定常性に関する逐次確率比検定および変化点探索、②p階の自己回帰過程(AR(p))の非定常性の逐次検定問題、そして③移民項のある分枝過程(branching process)の臨界性の逐次検定問題と逐次変化点探索、の3つの問題である。これら3つの問題は、研究代表者が指導する横浜国立大学大学院国際社会科学研究科の博士後期課程に属する3名の博士後期課程大学院生の博士号請求論文の一部としてとりまとめられ、平成26年3月に同研究科に提出された。それぞれの博士請求論文執筆者とタイトルは、以下の通りである。①万一青(マン イッセイ, Wan Yijing), "Sequential Change Detection", ②許贇(キョ イン,Yun Xu),"Sequential Unit Root Test for a p-th-order Autoregressive Process," ③王歓(オウ カン,Wang Kang), "Statistical Sequential Analysis of Branching Processes with Immigration." これらの問題を統一的に分析可能にする方法は、ターゲットパラメータに局所対立仮説を想定し連続時間の確率過程の問題に帰着させ、確率解析の理論を応用することである。それにより、過誤確率や期待停止時刻といった動作特性の解析的評価できることが示された。
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