研究課題/領域番号 |
24530229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹内 惠行 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60216869)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 統計学史 / 統計学教育 / 輸入概念の伝播 |
研究概要 |
本研究は、日本における数理統計学の定着と、応用分野への普及がどのようにしてなされてきたか、その変遷を文献資料と関係者の証言から構成し、明らかにすることを目的としたものである。まず、研究打合せを7月28日(立川)、9月9日(札幌)、3月12日(京都)、3月25日(東京)の4回開催し、研究の進め方やインタビュー調査対象者のリストアップ、ならびにヒアリング事項等についての協議を行った。 インタビュー調査については、まず5月末に畠中道雄大阪大学名誉教授へのインタビューを福重元嗣大阪大学教授の協力の下で行い、1950-60年代のアメリカでの研究ならびに時系列解析研究との関わりを中心に証言を得、現在文書化への編集作業中である。また3月末に芳賀敏郎元東京理科大学教授へのインタビューを連携研究者の椿広計統計数理研究所教授と共に行い、1980年頃までの実務界における統計的品質管理教育の状況や日科技連のセミナーの役割等を中心とした証言を得た。さらに、インタビューの予備段階として、島村史郎元総理府統計局長に対するヒアリングを行った。 文献調査については、高等教育機関のカリキュラムの文献調査として、名古屋大学大学文書資料室所蔵の「旧名古屋高等商業学校行政文書」の調査を行い、その結果の一部を、「旧制高等商業学校研究科に関する一考察:名古屋高商商工経営科を中心として」にまとめた(2013年6月『大阪大学経済学』63巻1号に掲載予定)。この研究の過程で、「相関係数」の普及に関心をもち、明治後期から大正期にかけての「相関係数の日本への導入過程」についての文献調査を行った。その成果の一部および連携研修者の椿教授の研究成果は、応用統計学会主催「応用統計学シンポジウムII」(2013年3月19日立教大学)で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー調査に関しては、当初5名を予定していたが、インタビュー対象者の想定外の体調不良等(1名は逝去、1名は手術とその後の療養)のため計画通りの調査を行うことができず、計画の大幅な変更が必要になった。さらに、1名は協力(仲介)者とのスケジュールが合わず、平成25年度に繰り越すことになった。対象者が高齢者であることもあり、盛夏や真冬時の調査を慎重にせざるを得ず、新たな計画を年度内に実施することが出来なかったが、計画にはなかった(インタビュー対象者とほぼ同世代の)統計実務家に対してアプローチすることが可能となったため、計画を変更して予備ヒアリングを実施した。また、連携研究者の椿教授は平成24年6月に逝去された田口玄一博士に関する追悼文を学会誌に掲載した。 文献調査に関しては、文献所蔵機関の協力や購入した画像撮影機器の助けもあり、計画をやや上回るペースで研究が進行した。その結果、年度内に論文1編と報告1本をまとめることが可能となった。また連携研究者の椿教授も報告1本を行った。上記の2点より全体的にはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
想定外の事態によりインタビュー調査が計画通りに実施できなかったことを踏まえ、今後はインタビュー調査について、次の2つの方策をとることとした。①候補者のリストアップを多めに行うこと。②インタビュー調査候補者への直接調査が不可能な場合には、関係者へのインタビューで補完することを考えること。また、文献調査に関しては、今年度の方針を踏襲するが、国内で入手困難な資料については、海外での文献調査を行うことも検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたインタビュー調査が計画通りに行えなかったため、24年度の研究費に未使用額が生じたが、研究計画自体には大幅な変更はなく、24年度のインタビュー調査予定数の残数を25年度に繰り延べ、25年度の研究計画と併せて実施する。また、研究遂行上必要が生じた場合には海外文献調査を検討・実施する。
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