研究課題/領域番号 |
24530229
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹内 惠行 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60216869)
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キーワード | 統計学史 / 統計学教育 / 輸入概念の伝播 |
研究概要 |
本研究は、日本における数理統計学の定着と、応用分野への普及がどのようにしてなされてきたか、その変遷を文献資料と関係者の証言から構成し、明らかにすることを目的としたものである。まず、研究打合せを9月9日(大阪)、1月20日(立川)の2回開催し、研究の進め方やインタビュー調査対象者のリストアップ、ならびにヒアリング事項等についての協議を行った。 インタビュー調査については、前年度実施したインタビューの編集作業を引き続き行うと共に、新たに渋谷政昭慶応大学名誉教授、吉村功名古屋大学名誉教授にインタビューを申込み、内諾を得た。時期的な問題から平成25年度中の実施は見送ったが、平成26年度の実施に向けてインタビュー内容および同席可能な関係者の検討を行った。 文献調査については、明治後期から大正期にかけての「相関係数の日本への導入過程」についての文献調査を引き続き行った。その中間成果は、国民経済計算研究会(2013年11月9日専修大学神田校舎)で発表された。また戦後の品質管理、品質工学に多大な影響を与えた田口玄一博士の統計学史的視点からの考察を行い、その成果は「田口玄一博士一周忌追悼シンポジウム」(2013年5月13日筑波大学東京キャンパス)における口頭発表ならびに『応用統計学』誌への掲載の形でなされた。さらに、1920、1930年代に文部省在外研究員としてイギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのK. Pearsonの研究室に滞在した5名の日本人統計学者の実態を調査するために、同大学図書館に海外出張し、K. Pearsonコレクション等の貴重資料の文献調査を行った。加えて、1920~1930年代のアメリカにおける経済学と統計学・数学との関係についての整理を行い、その結果の一部を数理経済学会研究集会(2013年12月7日慶應義塾大学三田キャンパス)で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー調査に関しては、当初6名を予定していたが、前年度実施インタビューの編集作業に手間取ったことと、連携研究者とのスケジュール調整が出来なかったこと、さらにインタビュー対象者の想定外の体調不良等(平成25年度は2名が逝去)のため、調査を計画通り実施することが出来なかった。対象者が高齢者であることもあり、盛夏や真冬時の調査を慎重にせざるを得ず、インタビューを年度内に実施することが出来なかったが、平成25年度中にインタビュー対象者2名へのコンタクトを行い、平成26年度に実施するインタビュー調査について協力の内諾を得た。 文献調査に関しては、文献所蔵機関の協力や購入した画像撮影機器の助けもあり、計画をやや上回るペースで研究が進行した。その結果、年度内に新規の報告2本と論文1編、継続中の報告1本をまとめることが可能となった。上記の2点より全体的にはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
想定外の事態によりインタビュー調査が計画通りに実施できなかったことを踏まえ、今後はインタビュー調査について、次の2つの方策をとることとした。①インタビューの聞き手となる研究協力者を募り、調査にコミットしてもらうこと、②インタビュー調査の遅れを挽回するために、インタビュー調査を個別に行うだけでなく、座談会形式で複数人に同時にインタビューすること。また、文献調査に関しては、今年度の方針を踏襲し、国内で入手困難な資料については、積極的に海外での文献調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたインタビュー調査が計画通りに行えなかったため、それに伴い25年度の研究費にインタビュー調査関連経費の未使用額が相当額発生した。また、海外文献調査を行ったものの、出張時期の問題もあり、別途研究の国際会議での発表の帰路に実施したため、単独用務出張に比べて使用旅費が約半分となったことが挙げられる。 次年度の使用計画としては、25年度のインタビュー調査予定数の残数を26年度に繰り延べ、全体の調査数を若干減らした形で26年度の研究計画と併せて実施する。また未使用額の一部を順調に計画が進んでいる文献調査用に研究費を振り替え、研究進行の過程で必要となった海外文献調査を実施する。
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