研究課題/領域番号 |
24530237
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研究機関 | 大阪学院大学 |
研究代表者 |
松木 隆 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (60319564)
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キーワード | 非定常パネルデータ / 単位根 / 共和分 / 多重検定 / 経済構造変化 / 非線形性 / アジア債券市場 |
研究概要 |
平成25年度は、モンテ・カルロ・シミュレーションを用いた手法の精度評価と非線形性を持つデータに対する実証分析を行った。検定手法の精度評価に関しては、Augmented Dickey-Fuller検定、Zivot and Andrews (1992)タイプの経済構造変化点を未知とする検定、Kapetanios, Shin and Snell (2003)の非線形性を考慮した検定などの単一時系列を対象とする検定と、分析対象検定との検定パフォーマンスの比較を行った。特に、経済構造変化の大きさや非線形性を表すパラメータ、さらにクロスセクション間の相関を表すパラメータについて、様々な値をとる場合における精度評価を行った。得られたシミュレーション結果は“Performance of multiple testing in nonstationary panels and empirical applications”the 76th International Atlantic Economic Conference 報告論文(2014年)として既に発表されている。また、非線形性を持つデータに対する応用研究として、非線形共和分の概念を用いて、アジア債券市場におけるcomovementの存在確認を行った。この成果は“Linear and nonlinear comovement in Southeast Asian local currency bond markets: A stepwise multiple testing approach”the 75th International Atlantic Economic Conference 報告論文(2013年)として既に発表されている。さらに、本成果はthe 9th Asia Pacific Economic Association Conference (Osaka University)(2013年)、滋賀大学経済学部講演会(2013年)、関西計量経済学研究会(京都大学)(2014年)においても報告がなされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究計画におおむね沿う形で研究が進行していると考える。本年度中に計画されていた既存検定手法の拡張(経済構想変化や非線形性を考慮した検定)についても、モンテ・カルロ・シミュレーションや実際のデータへの適用において、実用に耐えうるものであることが確認できた。また、それらの結果も2編の論文として執筆し、学会や研究会においても報告を行うことができた。既存検定の改良については、現時点において結果の整理・集計中であり、論文執筆の段階までには至っていない。そのため、この点については研究速度を上げていくように努める。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に交付申請書の研究計画に沿う形で研究を進めていく予定であり、昨年度の研究成果を統計関連学会連合大会において発表する予定である。また、既存検定の改良に関する論文の執筆及び成果発表も行う予定である。
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