非定常パネルデータに対する新しい検定手法の検定パフォーマンスの評価と検定の拡張及び実データへの適用を行った。特筆すべき事柄は以下の3点である。ブートストラップ法に基づくRomano and Wolf (2005)の多重検定をパネル単位根・共和分検定に応用することで、①多重性問題を回避し、従来の多重検定手法が持つ検出力の低さを補い、実用に耐えうる検定となることが示された、②他のパネル検定手法に比べて経済構造変化や非線型性といったデータの特性を検定に取り込み易く、検定パフォーマンスの面においても十分な性能を持つことが示された、③実データを用いた為替・金融市場の分析において、有意義な結果を得た。
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