研究課題/領域番号 |
24530246
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神事 直人 京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60345452)
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キーワード | 要素含有分析 / 温室効果ガス / 貿易政策 |
研究概要 |
当該年度の研究実績は次の通りである. まず,「貿易財に体化された汚染物質の排出量に関する実証分析」については,研究協力者であるWest Virginia University助教授の西岡修一郎氏とも協力しながら,前年度に収集した企業レベルの温室効果ガス排出量データや個別企業の特性に関するデータについて整備を行い,データをパネル化する作業を行った.その上で,日本企業の温室効果ガス排出行動に関する分析について予備的な分析を行った. また,「財の要素含有に基づく貿易及び貿易政策に関する理論的分析」については,前年度に行った予備的な分析を発展させ,完全競争一般均衡貿易モデルにおいて生産段階から温室効果ガスが排出されるケースに関する分析を行った.また,寡占競争市場における貿易政策についても分析を行うが,比較静学分析を行う際の手法について検討し,先行研究のほとんどが対称的な寡占競争企業を仮定したのに対して,より一般的な非対称的な寡占競争企業についても分析が可能であるような手法を開発した.寡占競争市場における貿易政策については,別の視点からの分析として,自由貿易協定において域内産の財と認定されるための基準を定めた原産地規則の効果に関する分析も行った.さらには,財の要素含有に基づいた貿易政策の例として,衛生と植物防疫のための措置を取り上げて,この措置に関する世界貿易機関(WTO)の協定について経済学的な視点から分析を行った. 研究成果の一部は査読付学術専門誌への掲載が決定したほか,書籍に所収された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論分析に関してはおおむね順調に進行しているが,実証分析はデータの整備に当初の見通し以上に時間がかかってしまい,予備的な分析にとどまっている.
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今後の研究の推進方策 |
実証分析に関しては,研究のスピードを加速させ,研究協力者とも十分な連携をとりながら本格的な分析を進めていく. また,理論分析に関しては,平成25年度までの分析結果を踏まえて,さらに追加的な分析を行う. 研究成果は国内外の研究会や学会で発表するとともに,査読付学術専門誌に投稿し,論文の掲載を目指していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果を報告するために参加を予定していた海外の学会について,他の用務と日程が重なってしまったために,参加を取り止めた.代わりに別の学会に参加するのは日程的に困難だったために支出を予定していた旅費が未執行となった 次年度において研究成果を報告するために参加する海外の学会を,当初の計画よりも1回増やすことによって,今年度未執行となった分の研究費を支出する計画である.
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