研究課題
平成26年度の研究実績は次の通りである.まず,貿易財に体化された汚染物質の排出量に関する実証分析に関しては,前年度にパネル化した日本企業の企業別温室効果ガス排出量のデータと個別企業の特性に関するデータを用いて,研究協力者とも協力しながら,日本企業の温室効果ガス排出行動に関する詳細な分析を行った.その結果,輸出をはじめとした企業の国際化活動の状況と温室効果ガスの排出集約度(排出量と売上の比率)との間に一定の関係がみられるなど,いくつかの興味深い分析結果が得られた. 他国のデータを用いて分析している先行研究の結果と比較しながら,共通した特徴と日本に特有な性質を明らかにした.次に,財の要素含有に基づく貿易及び貿易政策に関する理論的分析に関しては,寡占競争市場における貿易政策に関する比較静学を行う上で,非対称的な寡占競争企業を扱うことができるような手法の開発を前年度から継続して行い,研究成果を査読付国際学術雑誌に公表した.さらに,この手法を応用して,寡占産業に対する政府の戦略的な投資補助金の効果について分析を行い,研究成果を査読付国際学術雑誌に公表した.また,自由貿易協定における原産地規則は財の要素含有に基づく貿易政策の一種であると考えられるが,原産地規則を満たすための適合費用が域内企業と域外企業とで異なるときに,域内国が選択する最適な原産地規則の水準と域外関税率を分析し,研究成果をディスカッション・ペーパーとして公表するとともに,査読付国際学術雑誌に投稿した.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Economics Letters
巻: Vol. 124, No. 1 ページ: 79-82
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Review of Development Economics
巻: Vol. 18, No. 3 ページ: 490-501
10.1111/rode.12098