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2012 年度 実施状況報告書

日本における子どもの貧困と健康状態

研究課題

研究課題/領域番号 24530249
研究種目

基盤研究(C)

研究機関大阪大学

研究代表者

小原 美紀  大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (80304046)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード健康 / 世代間格差 / 計量分析 / 日本
研究概要

今年度は分析を行うための個票データの申請と,別のデータセットで行った研究成果の論文執筆,研究会等での発表を行った.
まず,親の経済環境が子どもの健康状態に与える影響を分析するため,厚生労働省に『国民生活基礎調査』の目的外申請を行い使用許可を得た.データクリーニングを行った後,「傷病数」と「症状数」を使って,1986年~2007年にわたる健康状態の分布の変化を追跡した.分析では,第一に,標本期間中に景気後退期(とくに1998年のアジア金融ショック)があることを利用して,家族世帯員の健康状態の分布が外生的な経済状況の変化でどう変わるかに注目している.第二に,親が直面する経済状況の変化が子供の健康状態の分布にどう影響するかを見ている.これらより,健康状態の分布の変化が何により生じているかについて現在文章にまとめている.
同時に,日本の都道府県別データを用いた親の経済状況と子どもの出生児の健康状態に関する研究を論文としてまとめ研究会にて報告した("Influence of Parents’ Unemployment on the Health of Newborn Babies";2012年医療経済研究会;医療科学研究所主催(東京)).いただいたコメントを反映させた修正を行い,現在投稿中である.
なお,分析を進めるにあたり,そもそも豊かさと健康状態に因果関係があるのかを検証することも重要だと感じた.そこで,大阪大学GCOE調査データおよび慶應義塾家計パネル調査 (JHPS) の利用許可を得て,豊かな者ほど健康状態がよいという関係が本当に存在しているのかについて分析を進めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

データの申請,入手,基礎分析については予定通り進んでいる.すなわち,必要なデータを入手するために必要な先行研究のサーベイを行い分析計画を立てたこと,データ申請を完了させたこと,データを入手後に基礎分析を行い結果を概観したことの3点を達成できた.また,これまで分析を行ってきた関連テーマの論文については,セミナーなどで発表し学術研究者からコメントをもらうこと,それに基づき文章として完成させること,投稿することの3点を達成できた.さらに,分析を進めるにあたり必要だと分かった点について新たな分析も開始できた.
ただし,利用許可を得たデータを用いて行った研究について,いくつかの点ですでに追加分析が必要だと感じている.すでに利用申請は終わっているので,次年度で再申請して分析を再開する必要がある.

今後の研究の推進方策

これまでの分析内容を踏まえて,今後の分析テーマは,(1)親の直面する経済環境の変化が子どもの健康状態に与える影響の検証,(2)豊さが健康状態に与える影響の検証,(3)1および2が社会政策の影響を受けるかどうかの検証の3点に要約される.
第一に,(1)および(2)の分析のためにやるべきこととして,利用期限が終了しているいくつかのマイクロデータについてデータ利用の再申請を行い,追加分析を行う.そして追加分析を取り入れて論文を修正したい.第二に,(3)の分析につなげるために,医療行政や福祉行政の政策変更のデータを集めたい.これについては,単独ではできないので複数の研究者と協力し,大学院生等をRAとして雇いながら行いたいと思う.
これらの作業と同時に,分析中の論文について学会で報告したい.すでに論文として書き終えている関連研究についてはこれまで通り学術雑誌に掲載することを目指して投稿を続けたい.

次年度の研究費の使用計画

データの利用申請書を完成させる作業,政策の変更に関するデータを収集する作業,分析結果を表にまとめる作業補助のために人件費を用いる.
また,海外学会で2回の報告を予定している(すでに査読付き学会に論文を投稿し,アクセプトをもらっている学会報告が2つある).

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 努力の成果か運の結果か?日本人が考える社会的成功の決定要因2013

    • 著者名/発表者名
      緒方里紗・小原美紀・大竹文雄
    • 雑誌名

      行動経済学

      巻: 5 ページ: 137-151

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Measuring Search Frictions using Japanese Micro Data2013

    • 著者名/発表者名
      Masaru Sasaki, Miki Kohara, and Tomohiro Machikita
    • 雑誌名

      The Japanese Economic Review

      巻: 掲載確定 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rising Inequality in Japan: A Challenge Caused by Population Aging and Drastic Changes in Employment2013

    • 著者名/発表者名
      Miki Kohara and Fumio Ohtake
    • 雑誌名

      Growing Inequalities' Impacts

      巻: 掲載確定 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Is Longer Unemployment Rewarded with Longer Job Tenure?2012

    • 著者名/発表者名
      Miki Kohara, Masaru Sasaki and Tomohiro Machikita
    • 雑誌名

      IZA Discussion Paper

      巻: No.7077 ページ: 1-26

  • [雑誌論文] Influence of Parents’Unemployment on the Health of Newborn Babies2012

    • 著者名/発表者名
      Miki Kohara and Fumio Ohtake
    • 雑誌名

      OSIPP Discussin Paper

      巻: DP-2012-E-004 ページ: 1-21

  • [雑誌論文] 学界展望:労働経済学研究の現在―2009~11年の業績を通じて2012

    • 著者名/発表者名
      太田聰一・小原美紀・田中隆一・三谷直紀
    • 雑誌名

      日本労働研究雑誌

      巻: 第620号 ページ: 3-41

  • [学会発表] Mothers' employment in early childhood and child's educational outcomes

    • 著者名/発表者名
      Miki Kohara
    • 学会等名
      Intergenerational Studies Workshop and English Presentations Master Class
    • 発表場所
      慶應義塾大学(東京都)
    • 招待講演
  • [学会発表] Is longer unemployment rewarded with longer job tenure?

    • 著者名/発表者名
      Miki Kohara, Masaru Sasaki and Tomohiro Machikita
    • 学会等名
      Workshop on Labor and Public Policies
    • 発表場所
      大阪大学(大阪)
  • [学会発表] 幼少時の母親の市場労働が成長後の教育成果に与える影響

    • 著者名/発表者名
      小原 美紀
    • 学会等名
      日本経済学会春季大会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道)
  • [学会発表] 失業と健康

    • 著者名/発表者名
      小原 美紀
    • 学会等名
      医療経済研究会
    • 発表場所
      医療科学研究所(東京都)
  • [備考] http://www2.osipp.osaka-u.ac.jp/~kohara/

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公開日: 2014-07-24  

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