本研究の主な成果は、要約すると以下の通りである。第一に、アジア太平洋地域において、金融リンケージと景気サイクルの連動が強まっている。第二に、東アジア域内において、各国の為替レート制度の柔軟性が高まるとともに、株式市場がグローバルに、かつ域内で統合が進んでいる。第三に、金融ショックは石油の国際価格の重要な決定要因であり、金融ショックによって生じた石油価格変動の各国マクロ経済へのインパクトは、需要ショックなどの他のショックによる石油価格変動のインパクトと同程度に重要である。第四に、東アジアの金融協力には著しい進展がみられるが、既存の国際金融システムを補完するという主な役割を維持するべきである。
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