研究実績の概要 |
平成27年度では、まず“The Distribution of Human Capital, Trade, and Growth”の草稿を平成26年度の国内外コンフェレンスで報告した際に受けたコメントに基づき、モデルに含まれるパラメタの値を現実的な値に設定して、論文の結果をシミュレーションの分析方法で精査した。その上に、シミュレーションの分析方法により多くの結果を得た。それらの結果を入れて論文を修正し、国内外学会とセミナーで報告した。現在投稿中である。次に、新製品を研究開発している企業が製品の品質上昇率と生産拠点を選択できる動学的モデルを構築し、従来考証されてない製品の品質上昇率と新製品の先進国から途上国への生産移転のタイミングの関係を分析した。その研究を“The Product Cycle Hypothesis: the Role of Quality Upgrading and Market Size”という論文を作成し、学術誌に掲載されている。 平成24年から27年までの期間全体を通じて得られた主な成果は以下の3点である。(1)先進国の経済成長のエンジンおよびそれと関連する貿易パターンの相違を人的資本の視点から理論的に解明した。その上に、新製品の先進国から途上国への生産移転のタイミングと製品の品質上昇率との関係を解明した。(2)途上国の経済成長のエンジンである学習について、その異なる種類とそれぞれの効果を解明した。(3)途上国の経済成長が生産プロセスの国際的分割により加速しているなかで、タスクの性質が生産プロセスの国際的分割に与える影響を分析した。 以上の4年間の研究で得られた主要な成果は、いずれも論文のかたちにまとめ、各種の学会や研究集会で報告してコメントを得た。それらの論文は査読誌や大学紀要に掲載されたか、あるいは投稿中である。
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