本研究は、日本の企業が海外直接投資先を決定する際にFTAがどのように影響するのかを、1990年代以降から最新年までの企業レベルデータと、日本がこれまでに締結したFTAの情報を合わせて用いた、企業の直接投資行動の実証研究である。分析の結果、FTAによる貿易自由化は、垂直型直接投資を行っている企業を中心に製造業・非製造業の両部門で直接投資を促す効果があることが分かった。特に、投資先国がより大きな市場規模をもつ第三国とのFTAを締結しているケースでも直接投資が促されることも示された。地域大の経済統合などより広いFTAネットワークによって、財貿易のみならず、直接投資も活発化されることが示唆されている。
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