研究課題/領域番号 |
24530258
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山本 陽子 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00326159)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 女性就業 / 再就職 / 学童保育 / 保育サービス |
研究概要 |
本研究では、学童保育が小学生の子どもを持つ母親の就業継続と再就職に与える影響を明らかにする。分析は、パネル・データを用いた実証分析と、データ分析では解明できない母親の就業実態や学童保育に対するニーズを把握するために、ヒアリング調査を実施する。データ分析とヒアリング調査を両方実施することで、母親が望む、実情にあった学童保育、子育てと就業の両立支援策を探る。本研究は、就業意志のある女性の労働力参加を実現し、少子化による将来の労働力不足への対応策を提言するものである。 H24年度は、実証分析のためのデータ・ベースの作成を中心におこなった。まず、学童保育の現状について、都道府県別市区町村別のベータ・ベースの作成をおこなった。利用する主な資料は、『学童保育実態調査(各年版)』(全国学童保育連絡協議会)であり、学童保育の実施状況について、開所施設数、年齢別定員数などのデータ入力をおこなった。 また、上述の学童保育のデータ・ベースと女性の就業に関する調査をマッチングさせて実証分析をおこなうため、「消費生活に関するパネル調査」(財団法人家計経済研究所)の利用申請をおこない、学童保育のデータ・ベースと「消費生活に関するパネル調査」のマッチングの方法、具体的な分析の方法について検討をおこなった。 さらに、今後の学童保育のあり方を検討するため、まず、日本の学童保育の実施主体と全国学童保育連絡協議会に対するヒアリング調査をおこなった。また、海外の未就学児向けの保育サービスと就学児童向けの保育サービスについて調査をおこなった。特に、イギリスのOFSTEDによる保育サービスの質の管理方法を中心にヒアリング調査をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、学童保育の開所施設数、定員数、受け入れ年齢などの拡大や、運営主体や施設面積などの質の差が、既に就業をしている母親の就業継続や、無職で就業を希望している母親の再就職に対してどのような影響を与えているのかを検証することである。これに対し、H24年度は実証分析のための準備として、学童保育に関する都道府県別、市区町村別のデータ・セットの整備をおこなった。また、女性の就業行動に関する調査である「消費生活に関するパネル調査」(財団法人家計経済研究所)の利用申請をおこない、実証分析のための準備を進めている。加えて、日本の学童保育の課題を把握するため、ヒアリング調査をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度に引き続き、学童保育の実施状況に関するデータ・セットを基に、実証分析を進める。実証分析をまとめ、小学生の子どもを持つ母親の就業継続・再就職に対して学童保育がプラスの影響を与えているのかどうかを明らかにする。プラスの影響を与えていない場合、学童保育の改革の方向性は何か明らかにする。 また、プラスの影響を与えていない理由として、学童保育のサービスの内容が利用者である母親の希望とマッチしておらず、子どもを預けたくない質のものであったり、あるいは、就業との両立がしにくいものとなっている可能性がある。したがって、実際の学童保育のサービスの内容と母親の希望との間にどのような乖離があるのかを明らかにするため、学童保育の利用者や運営主体に対するヒアリング調査をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度は、実証分析に用いる分析環境の整備のため、コンピュータ及び統計ソフトの購入を予定している。また、分析の補助のためのアルバイトを雇用する予定である。その他、研究旅費に使用する予定である。
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