研究課題
本研究では就学児童の育児をする女性の就業について、その就業促進要因を明らかにするとともに、学童保育が就業に与える役割について検証をおこなった。分析は「消費生活に関するパネル調査」(家計経済研究所)と「21世紀成年者縦断調査」(厚生労働省)の2次利用申請を行い、これらのパネル調査に都道府県別の学童保育の実施状況に関するデータをマッチングすることで、上記の分析をおこなった。分析の結果から明らかになったことは以下のとおりである。まず、「消費生活に関するパネル調査」を用いた分析から、出生コーホート別にみた結婚・長子出産・長子小学校入学前後における就業継続割合は若い世代ほど低下していること、ファミリー・フレンドリー施策や機会均等法に関する法改正が長子出産時の就業継続を促進していること、長子小学校入学前後では性別役割分業意識を持つほど、若い世代ほど就業継続しないこと、親や父親の育児協力と地域の学童保育の両方が利用できる場合、就業継続する確率が高まることが明らかとなった。「21世紀成年者縦断調査」を用いた分析から、長子小学校低学年世帯の学童保育の利用率は20.0%であり、6歳児に保育所に入所していた児童で就学後に学童保育を利用しているのは35.1%であること、地域の学童保育が利用しやすいことや家庭内の保育資源が得られることが長子小学校入学時点での就業継続と長子小学校低学年における母親の就業を促進し、特に正規での就業を促進することが明らかとなった。加えて、学童保育の利用者の特徴として、母親が時間利用に柔軟性が確保できること、父親の年収、夫の母親との同居と負の相関があることが明らかとなった。分析の結果から、学童保育の拡充の重要性と父親の育児協力といった家庭内の育児支援を得るために職場におけるワーク・ライフ・バランス施策推進の重要性が明らかとなった。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)
Discussion Papers in Economics, The Society of Economics, Nagoya City University
巻: 598 ページ: 1-28