研究実績の概要 |
本研究の目的は、研究期間の3年間で、資本蓄積による投資動学を明示的に取り扱う動学的グローバルCGE (Computable General Equilibrium) モデルを開発することであり、特に海外直接投資(FDI)の定式化を重要視している。この目的に向けて、recursive dynamicsを備えたDynamic GTAPモデルの応用分析と、heterogeneous firmの輸出行動を記述するモジュールの開発を行った。後者のモジュールの重要性は、FDIをCGEモデルで扱うための基礎理論として Helpman, Melitz and Yeaple (2004) に依拠して、企業の輸出とFDIに関する行動をモデルに組み込む第一歩として非常に重要であった。さらに、このモジュールでは、Dixon, Jerie and Rimmer (2015) を基礎として、財の差別化を扱う代表的な国際貿易モデル (Armington (1969), Krugman (1987), Melitz (2003)) を共通の定式化によって実装することを可能にしていることも重要である。 最終年となる平成26年度の成果は、GTAPモデルとデータベースの開発拠点であるPurdue大学の国際貿易分析センター (Center for Global Trade Analysis) に於いて、新たに開発したモジュールについて報告を行ったことである。GTAPの産みの親であるHertel 教授をはじめとして、CGEモデルや国際貿易モデルの専門家から非常に有益なコメントを得ることができた。また、同様の研究報告を国内外の学会で行った。
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