研究課題/領域番号 |
24530267
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
有村 俊秀 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70327865)
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研究分担者 |
片山 東 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (00595746)
岩田 和之 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (90590042)
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キーワード | 省エネ行動 / 家計 / 構造推定 / 震災 / 地球温暖化 / 社会的規範 / 節電 / 行動経済学 |
研究概要 |
家計からの温室効果ガス削減のために、省エネ行動促進が注目を集めている。しかしながら、どのように省エネ行動を促進すべきであるかという点については実証研究が十分に蓄積されていない。また、日本においては、震災以降、人々の省エネ行動は変化している可能性がある。そのため、下記のように、震災前と震災後の家計行動のデータを入手しながら家計の省エネ行動について分析を進めた。 第一に、平成25年度は震災以降の家計の省エネ行動の現状および促進策を模索するための家計調査(震災後家計サーベイ)を実施した。調査はインターネット調査とし、日本全国から6500世帯の回答を得ることができた。6500世帯のうち、大半が都市部の世帯といった偏りを避けるために、都道府県の人口規模に応じて調査数を割り当てている。調査票設計にあたっては、関連文献の詳細なレビューも行いながら調査を行った。調査の結果、例えば「夏季のエアコンの温度を28度に設定する」という省エネ行動は約47%の家計が、「テレビは見ない時には消す」とう省エネ行動は約61%の家計が実施していることが明らかになった。こうした結果から、家計における省エネ行動を促進することで温室効果ガスを削減できるポテンシャルは十分にあるといえる。また、震災後家計サーベイにおいては、震災影響を分析するために、輪番停電の経験の有無についても情報を得た。 第二に、昨年度に引き続き、震災前に上智大学環境と貿易研究センターが行った家計の省エネ行動に関する調査(震災前家計サーベイ)を元に分析を行った。構造推計を用いて、エアコンの温度設定に関して社会的規範意識が果たす役割・影響について研究を進めた。また、節電に関する家計の認識や誤解についても実証研究を行った。それらの結果を国際学会で報告すると共に、ディスカッションペーパーとして完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
省エネにおける社会的規範意識の役割の分析に関しては概ね研究を完成させることができた。同時に、震災後の家計における節電行動の分析のための調査票を完成し、分析に必要なデータを収集することができた。 一方、調査票の設計に多くの時間を費やしたため、収集データの詳細な分析が十分に行えていない。そのため、最終年度となる平成26年度はこの家計調査のデータを精査し、どのような家計にどのような方法を用いれば省エネ行動を促進できるか、そしてその結果としてどの程度の温室効果ガスの削減が可能であるかを詳細に検討する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に収集した震災後家計サーベイや、以前収集した震災前家計サーベイを用いながら分析を続ける。特に、いくつかの点に留意して分析を続ける。第一に、輪番停電が人々の節電行動に与えた影響について分析を行う。第二に、社会的規範意識が節電行動に与える影響について分析を深める。特に、節電行動におけるピアエフェクト効果が、夫婦間でもみられるかの分析を行う。第三に、昨年度に引き続き、分析結果や、分析モデルの提案内容を適宜、学会、研究会、ワークショップなどで報告し、研究をブラッシュアップしていく。特に、計量モデル構築においては、ワークショップ、研究会などを活用していく。また、研究代表者と分担者の間で定期的に研究会を行いながら研究を進めていく。最後に分析結果をディスカッションペーパーとして完成させ、順次、学術雑誌に投稿して成果の公表を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査票作成の遅れにより、データ解析及び論文執筆が遅れたため、英文編集が必要なくなった。 分析を終了し、論文執筆を行い、英文編集サービスを受ける。
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