研究課題/領域番号 |
24530268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
岡本 信広 大東文化大学, 国際関係学部, 准教授 (00433863)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 都市化 / 地域開発 / 産業連関分析 / 新区 / 都市圏 |
研究概要 |
計画初年度である平成24年度は,産業連関モデルを構築する地域の決定が到達目標であった。内陸部で初の新区が設置された重慶,中部地域の都市化政策の中心である武漢都市圏に対象をしぼり,現地調査を実施した。昨今の日中関係の悪化によりインタビュー調査は難航したが,重慶と武漢においては都市発展の規劃について情報を収集した。とくに重慶の都市規劃はずいぶんと洗練されたものであるが,実際に実行可能かを今後注目する必要があろう。 重慶と武漢の状況を簡潔にまとめておく。2009年,国務院が「重慶の都市農村統合改革発展の推進に関する若干の意見」を発表したあと,重慶には2010年6月に兩江新区が成立した。これは,1990年代初頭に設置された上海浦東新区,2000年代後半に設置された天津濱海新区に続く第三の国家級新区である。新区は,重慶の旧市街地である渝中区を覗いた北側の嘉陵江と長江に挟まれる場所にある。行政区としては,渝北区,北部新区,江北区,北碚区から構成され,1200平方kmの規模を持つ。開発可能な面積は650平方kmであるが,建物がすでに立っている場所などを除けば実際の開発面積は400平方km程度である。 武漢城市圏は,2002年頃から省内で検討されはじめ,2005年の中部崛起10号文件によって,中央政府戦略として推進することが決定した。これにより武漢という副省級都市を中心として周辺の8市とともに,市場参入,人材流動,子女教育,就業関係における制度の統一を果たし,都市圏の一体化を図って都市競争力を向上させることが決定した。ちなみに現在も周辺の3県が城市圏に加入するかどうかを検討しており,オブザーバーとして参加している。具体的には,城際鉄道を設置し,市間の相互アクセスを容易にしていくとともに,開発区同士の連携,通信市場の一体化,相互投資協議などが進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2012年は尖閣諸島問題による日中関係の悪化,中国国内の反日デモの発生により,当初9月に予定していた北京,西安の現地調査が中止となった。とくに中国国内では,日本人研究者との交流について非常にナーバスになっており,各訪問予定機関からアポが断られるということが発生した。訪問受入のキャンセル理由はデモとは関係ないとしていたが,実際には日本との交流は控えたいというのが本音であるように思える。 本来ならば,重慶と武漢以外の地域を分析対象としたかったが,現地調査が実施できなかったので今回は見送らざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進にあたっては,中国の現地調査をスムースに進める必要がある。これまで中国の都市化をずっと調査している中国籍の研究者(穆尭芋氏環日本海経済研究所研究員)に分担者になってもらい,現地調査を実りあるものにする予定である。それと同時に,研究分担者には,調査都市の定性的発展状況を把握してもらい,研究代表者が作成するモデル分析の結果と照合することによって,モデルの精度を向上させたい。 また,重慶,武漢以外の地域と比較することができるように,他地域の調査,関連データの収集につとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はデータの収集とそれを管理保管するNASの購入とともに,分析に関連するソフトを購入する(設備備品費)。 また,初年度で調査を実施した重慶と武漢以外に中国で地域開発が盛んな都市部,長沙や成都なども調査対象地域として拡大していく予定である。途中の研究成果を国内の学会で発表していく(旅費)。 データ入力およびその整理にアルバイトを雇用するとともに(人件費等),作業に必要な消耗品を購入する予定である(消耗品費等)。
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