2015年度は本研究プロジェクトの最終年であり、これまでの研究成果を口頭報告・論文執筆に重点を置いて研究を進めてきた。 これまでに作成した貿易財と国際規格の対照表を用いて、国際規格の発行が各国の輸入を促進したか、とくに新しい輸入取引の発生を促進したか、を実証的に分析している。 本研究プロジェクトでは、これまでに貿易財と国際規格の対照表は、2種類を作成している(研究計画では1種類であった)。1つ目は、貿易財と国際規格の分類コードであるICSとの対照表である。2つ目は、貿易財と個々の国際規格との対照表である。2つ目の対照表は非常に膨大な作業量であるため、国際標準産業分類(ISIC)の29から35に属する財(およそ1000財)を対象としている。これに加えて、研究計画には無かったが、学会等での報告の際のコメントを参考にして、①国内規格の国際規格との同等性、②国内規格を利用させる強制法規、の国際貿易の影響を分析することにした。これらは、2つ目の対照表により分析可能である。ただ、国内・国際規格の同等性、強制法規に関して複数の国の情報を入手することは現実的でないため、日本の国内規格(JIS規格)と強制法規の情報を用いることとした。これらの情報は経済産業省と日本規格協会の協力により入手することができた。 このような経過により、日本の国内規格の国際規格との同等性および強制法規の存在がもたらす新規輸入の発生への影響を実証的に分析した。分析結果としては、国際規格と同等でない国内規格で、かつ強制法規が存在する財は、予想どおり日本市場に輸入により外国製品の参入を削減する効果があることがわかった。しかし、これはすべてのISIC産業に明らかではなく、ISIC29(機械製品)の中間財において当てはまっている。研究メンバーは、これらの研究成果を国内外の学会で報告している。
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