研究課題/領域番号 |
24530270
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
武智 一貴 法政大学, 経済学部, 准教授 (80386341)
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研究分担者 |
伊藤 萬里 専修大学, 経済学部, 准教授 (40424212)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 輸送費 / オープンイノベーション / 非ホモセティック効用 |
研究概要 |
本研究では今年度、学会での報告、ディスカッションペーパーでの公開、海外学術雑誌への掲載といった形で成果を公表した。まず学会報告については、国際的な国際貿易の学会である European Trade Study Group においてオープンイノベーションと輸出の分析の報告を行った。この研究は RIETIのディスカッションペーパーとして公刊されている。研究開発のシステムが、自社開発に限定された状況から、外部の研究開発を利用する形でイノベーションを促進するという形をとるケースが発生している。そういった新しい研究開発の形態の国際貿易との関係、生産性への影響について検証した研究である。また、Asia Pacific Trade Seminarsにおいて、 The price of distanceの報告を行った。この研究は、財取引に対して主な障壁となる輸送費の影響を識別する事を目的としており、pricing to marketを考慮することで、輸送費と距離の関係を正しく推定できることを明らかにした。本研究は、Journal of International Economicsに掲載確定されたExaggerated death of distance論文の拡張である。Exaggerated death of distance論文では輸送パターンのセレクションにより地域間価格差を説明する距離の影響が過小に推定される問題を明らかにし、それらをコントロールすることで正しい距離の影響を識別できることを示した。The price of distanceでは生産者の異質性と価格付けにより引き起こされるバイアスを示し、距離の影響の推定が改善されることをしめした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度においては、データベースの構築を行いその後の研究の基盤を形成する予定であったが、これまで研究で用いてきたデータベースの活用も行い、新しい研究成果を公表する事が出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
データの入手、データベースの構築・精査をすすめ、より貿易と知的財産権保護の関係の分析を行う。また、市場取引の基盤となる輸送費の問題についても、データベースの構築に加え、これまで扱われてこなかった財の品質の考慮や、これまでの研究で前提とされていた輸送費関数の形状を拡張する新たなフレームワークを用いる研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
データの購入に必要な支出、データの整備に必要な支出に加え、より最新の計量経済ソフトウェアへのアップデートを行うために研究費を使用する。また、ソフトウェアのみならずハードウェアの進歩により、よりサンプルサイズの大きいデータの処理が可能になるため、ハードウェアに関しても更新を行う。そして、本年度の成果をより多様な国際学会で報告するための旅費等に対しても支出を行う。
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