本研究は企業活動のグローバル化が日本企業の非正規雇用増加にいかなるメカニズムでかかわっているかを理論とデータ分析で明らかにすることを目的とした。企業がなぜ正規雇用と非正規雇用を混ぜて採用するのかは、労働者の解雇コストと正規雇用者の人的資本投資による生産性の増加と、企業売り上げの不確実性がグローバリゼーションで増加したことのトレードオフで理論的には説明ができた。しかし、実際のデータ分析をみると、企業の輸出比率と非正規雇用比率との間には逆の相関が見られ、理論モデルで提示したロジック以外の要因が働いていることが推察された。
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